ジェネックス・コップ

1999/12/15 SPE試写室
香港の若手俳優がずらり揃ったアクション映画。面白い。
俳優ひとりひとりが魅力的。女の子たちも可愛い。by K. Hattori


 香港警察のはみ出しルーキーたちが黒社会への潜入捜査のために集められ、警察上層部の予想を裏切る大活躍を見せるというアクション映画。製作はジャッキー・チェン。製作・監督・脚本は『フー・アム・アイ?』のベニー・チャン。主演はニコラス・ツェー、スティーブン・フォン、サム・リー、ダニエル・ウーなどの香港若手スターたち。ヒロイン役のグレース・イップとジェイミー・オングも、これが本格的な映画デビュー作というフレッシュな顔ぶれ。これをフランシス・ン、チャン・ホー、エリック・ツァンなどのベテラン脇役陣が支えている。日本人のヤクザ役で仲村トオルが出演しているのも見どころ。たぶん相当の香港映画ファンでない限り、俳優の名前を聞いただけではどんな顔ぶれなのかさっぱりわからないと思う。これは俳優目当てで観に行く映画ではないと思うけれど、映画を観た後は俳優のひとりひとりが大好きになってしまうような映画です。

 組織の中のはみ出しチームが難問を解決して汚名を返上するという物語は、映画としては定番のストーリー展開。定番のストーリーはツボさえはずさなければ、多少の蛇行や傷があっても目立たない。この映画も導入部からいくつか作劇上の不手際があるのだが、映画を観ている間はそれがあまり気にならないと思う。エピソードが充実しているので、映画の途中で「そういえばあの話はどこに行ってしまったの?」と思うところがないのです。かといって、観客が忘れた頃に序盤の伏線を持ち出したりする間抜けなところもない。このあたりの呼吸は、なかなか上手いものです。タイトルの『ジェネックス・コップ』は“ジェネレーションX世代の警官”という意味だと思うけれど、その個性派ぶりを描くだけでなく、彼らを警察機構の中に位置づけるために、周囲にベテラン陣を配置したのは巧みな構成だと思う。この手の映画に本当の意味でのリアリティなど不要なのだが、主人公たちと組織の軋轢をたっぷりと描くことで、物語全体に生々しさが出てくる。その要の位置にいるのがエリック・ツァンで、今回もなかなかいい味出してます。

 香港映画の中では予算をかけたアクション大作ではあるのでしょうが、映画としての新しさはあまりないし、ハリウッド映画の基準で言えばB級の佳作といったレベルでしょう。しかしこのクラスの映画の中では、群を抜いてデキのいい作品です。この規模の作品は無数に存在するので、映画の中で何を“売り”にするのかが難しい。しかし何か“売り”がないと、その作品は他の作品の中に埋もれてしまう。この映画は「新人俳優たちの売り出し」という一点のみをアピールした映画で、その点では大成功していると思う。登場人物はみんな魅力的に描かれているし、誰かひとりだけが突出した活躍をすることもなく、チームとしての活躍が小気味よく描かれている。この映画を観れば、どうしたった主人公たちのその後の活躍が観たくなる。『ジェネックス・コップ2』も作られるようなので、僕は早くもそれに期待しています。

(原題:GEN-X COPS 特警新人類)


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