ラグラッツ
ムービー

1999/11/16 UIP試写室
アメリカの人気TVアニメ「ラグラッツ」の劇場版。
面白いのかつまらないのか、よくわからない。by K. Hattori


 アメリカではテレビ放送(といってもCATV)されているアニメ番組の劇場版。日本でもテレビ版がディレクTVで放送されているようだけど、いったいどれだけの人が見ているのかな……。僕はもちろんテレビ版を見てません。今回の劇場版はテレビ版の番外編という扱いらしい。6人合わせた年齢が8歳という幼児軍団“ラグラッツ”の活躍を描いていますが、子供たちが年齢に見合わぬシニカルな世界観を持っているのがこの物語の特徴でしょうか。映画『ベビー・トーク』の影響でしょうかね……。幼児が主人公のアニメというと日本にも『クレヨンしんちゃん』がありますが、こちらは作り手の姿勢こそシニカルですが、主人公の幼児にはさほどシニシズムが浸透していないように思える。

 じつは僕『クレヨンしんちゃん』も劇場版しか観ません。でも『しんちゃん』は劇場版だけでも十分に楽しめる。『ラグラッツ・ムービー』はアメリカで興行1位になるほどのヒット作ですが、僕にはまったくこの映画が面白いと思えなかった。登場する幼児たちのキャラクターをテレビ版で把握していないと、この映画の面白さは伝わってこないのだろうか。それとも、そもそもこの映画は面白くないのだろうか。テレビ版を見ていないので、そのあたりが判然としない心苦しさはある。

 主人公トミー・ピクルスはまだおむつも取れていない1歳の男の子。そんな彼に、新しくディルという弟ができた。両親は赤ん坊のディルに掛かりきりで、トミーの相手をなかなかしてくれない。ディルは可愛いけど、トミーは弟にパパやママを取られてしまったような気もしている。そんなある日、発明狂のパパが作ったレプターワゴンが暴走して、トミーとディル、親友のチャッキー、隣家の双子フィルとリルが遠い森で迷子になってしまう。ディルにお気に入りの人形を取られたアンジェリカも、犬のスパイクを連れて5人を追跡。子供たちが行方不明になったことに気づいた親たちは大騒ぎをするのだが、そんなことも知らずに、子供たちは森で大冒険……。

 1時間20分の映画で、前半はトミーの家に赤ん坊が来て彼が疎外感を味わうという話、後半は森を舞台にしたアドベンチャーになる。全体を通すと、トミーがよきお兄ちゃんとして成長して行く物語になる。少し感じたのは、決して長い映画ではないのに、エピソードの構成にやや難があること。子供たちの冒険と親たちの姿を交互に描いて行く部分にチグハグなところがあって、そのたびに物語の流れが中断してしまう気がする。特に後半は、物語の視点が「トミーたち5人」「5人を追跡するアンジェリカ」「子供たちを探す両親たち」という3つに分かれてしまい、チグハグもいいところ。無神経なTVレポーターのエピソードも、アイデアとしては面白いけど映画としては邪魔だと思う。

 今回試写で観たのは日本語吹き替え版。英語版ではウーピー・ゴールドバーグやティム・カリーが声の出演をしているらしい。だからどうだという気もするけど。

(原題:The Rugrats Movie)


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