映画版
ビーストウォーズ・スペシャル
超生命体トランスフォーマー

1998/11/27 東映第1試写室
子供向けのオモチャを主人公にした販促用の劇場用映画。
大人が観ても面白くも何ともない内容。by K. Hattori


 玩具メーカーのタカラとハズブロが共同で開発した「ビーストウォーズ」というロボット・シリーズを、3DCGを使って映画化したもの。劇場ではCG作品が2本と、普通のアニメが1本の3本立てで『映画版・ビーストウォーズ・スペシャル/超生命体トランスフォーマー』として上映される。今回試写されたのは、そのうち『CG版ビーストウォーズ/激突!ビースト戦士』と『CG版/ビーストウォーズ・メタルス』の2作品。どちらの作品も、キャラクターも背景もすべてCGを使って描かれている。フルCGの長編劇場用映画は、これが日本で初めてかもしれないぞ。

 内容は単純な「善と悪の戦い」を描いている。基本的には、変形ロボット同士が2チームに分かれて戦う様子を、ダラダラと描いているだけ。オモチャ同士が戦うという『スモール・ソルジャース』的な世界を、映画の中だけで完結させているわけだ。大人にはかなり退屈な内容だと思う。オモチャを持っている子供たちには、自分の持っているロボットたちが言葉をしゃべったり戦ったりする様子が面白いのかもしれないけどね。

 キャラクターたちの台詞はかなり乱暴なものだが、テンポが早くてスピード感がある。とにかくいつも誰かが何かしゃべっているという印象で、僕には少し騒々しく思えた。間断なく続くCGキャラクターの戦闘シーンと、ひっきりなしに聞こえてくる力んだ台詞のせいで、僕は眠たくなってしまったほどだ。どの台詞も軽くて深刻さはまったくないので、激しい戦闘も全部「戦争ごっこ」にしか見えないのだが、それは作った方も意図してのことだと思う。同じオモチャの戦争でも、『スモール・ソルジャース』はマジだったからね。

 2本の映画は大きな物語の前後編になっているのだが、物語のつじつまが合わないところもある。それを勢いだけで乗り切ってしまうのが、馬鹿馬鹿しくてすごい。前編である『激突!ビースト戦士』のキャラクターが不思議なエネルギーを浴びて、後編の『ビーストウォーズ・メタルス』になってしまうという展開も、「同じキャラクターでオモチャを2度売ろう」という魂胆が見え見え。キャラクターは善玉であるサイバトロン軍団とデストロン軍団で10人(?)なので、前後編あわせて20のキャラクターが登場する仕掛けだ。これらのキャラクターにはすべて「ビーストモード」と「ロボットモード」があるので、それも合わせるとキャラクターの数は40。結局すべてオモチャ屋さんの発想なんだよね。

 CGのクオリティはそんなに高くない。パソコンレベルの絵が、ごちゃごちゃと動いている感じです。こんなものでも、オモチャを持っている子供にとっては「オモチャの世界観」を教えてくれる大事な作品になるのかもしれません。オモチャは日本国内で600万個、全世界で3000万個も売れているそうですから、これはこれで構わないんでしょう。これに単独の映画としての評価を下すのは、そもそもが的はずれかもしれません。


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