ムトゥ
踊るマハラジャ

1998/01/07 徳間ホール(試写会)
華麗なるインド・ミュージカルの世界を垣間見られる豪華な逸品。
ヒロインのミーナがとにかく可愛。by K. Hattori



 昨年の東京ファンタで上映され、「観たか!」「観た!」「観てない!悔しい!!」と一部で話題騒然となったインド映画です。僕もファンタでは観逃していたので、周りの話を聞くだけなのが悔しくて悔しくて……。ファンタ終了時点で日本公開が決まったというニュースを聞いていたので、少しホッとしたくらいです。今回こうして、この映画を試写で観られたことに感謝! ちなみに、この映画が今年の試写会第1号。最初からこんな映画に当たるなんて、今年はいい年になりそうです!

 インド映画は年に何本か日本でも公開されていますが、そのほとんどは芸術性の高いドラマです。ところがインドで作られている映画の9割以上は、登場人物が歌って踊るミュージカルだとか。こうしたインドの大衆娯楽映画は、日本にほとんど輸入されませんでした。辛うじて、昨年は『ラジュー出世する』が公開されましたが、個人的にはあんまり趣味じゃなくて、僕は劇場のトラブルに乗じて途中退場してしまいました。そんなこともあったので、今回の『ムトゥ 踊るマハラジャ』にも期待半分、半信半疑という面がありました。ところが、映画は開始直後からそんな不安をぶっとばします。

 主人公ムトゥは、若い地主の使用人頭。なかなか結婚しようとしない主人は、道楽の芝居小屋通いで舞台の上の歌姫を見初めますが、彼女はいつしかムトゥと相思相愛の仲になる。それを知らない主人は、歌姫も自分を愛してくれるものと勘違いして夢見心地。しかしムトゥを妬む別の使用人が主人に讒言し、ムトゥは屋敷から追い出されてしまいます……。

 主人公の出生秘話など、人間関係はそれなりに入り組んでいますが、頭から筋を追っていけば難しいことはひとつもありません。物語を埋め尽くすミュージカルシーンのスケールの大きさに驚き、ナンセンスなストーリー展開に大笑いし、予定調和的な結末に大いに安心する健全な娯楽作。見どころはやはりミュージカル場面で、オープニングでムトゥが「ご主人はただひとり」と歌う場面から、この映画のテンポとリズムにぐいぐい引き込まれてしまう。数百人のダンサー(?)がシネスコ画面を埋め尽くす、群舞シーンの迫力は「スゴイ」の一語。

 映画演出としてもメリハリが利いていて、なかなか見ごたえがあります。スローモーションの使い方も、ハイスピード撮影とコマ伸ばしを効果的に使い分けるなど、きちんと映画を知っている人が編集してます。ミュージカル場面にはハリウッド作品の、乱闘シーンには香港映画の影響があるようだし、世界中の映画から面白い部分を抜き出して、上手にアレンジしているのでしょう。

 「インドでは太めが美人」という話を聞いたことがありますが、この映画のヒロインも比較的グラマーです。でもデブというほどじゃないよ。このあたりにも、欧米の映画の影響があるんでしょうね。とにかくこのヒロインがすごく可愛くて、あたしゃ惚れました! 彼女見たさに、僕はあと2回ぐらいはこの映画に通うでしょう!


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