ジム・キャリーの
エースにおまかせ!

1996/06/02 日比谷映画
『エース・ベンチュラ』に続くシリーズ第2弾はアフリカが舞台。
毎度毎度の馬鹿馬鹿しいお笑いに大いに満足。by K. Hattori


エースにおまかせ!

 ペット探偵エース・ベンチュラを主人公にしたシリーズ第2弾。主演は前作同様ジム・キャリー。前作『エース・ベンチュラ』は日本ではぜんぜんヒットしなかったんだけど、その後『マスク』の大ヒットがあってキャリーは一躍大メジャー。その後『バットマン・フォーエバー』に出演するなど順調なスター街道を進んでいたものの、『Mr.ダマー』は日本で大コケ。配給会社は嫌な予感がしてただろうと察するが、案の定、最新作の『エースにおまかせ!』は客の入りが悪い。タイトルから「エース・ベンチュラ」を外すなど、新しい客層を取り込もうという努力は見えたんだけど、やはり日本ではジム・キャリーの芸風が受け入れられていないのかなぁ。逆に言えば今回この映画に足を運んだ観客は僕も含めて「ジム・キャリーが大好き!」という人たちばかりのようで、劇場の座席が1割程度しか埋まっていなくても、結構笑い声が起きていました。

 オープニングは『クリフハンガー』のパロディ。アルプス(ロッキーかも)の峰々をヘリからの空撮しているんだけど、どうもここに登場するヘリコプターが合成っぽいんだよなぁ。そのまま岩壁によじ登る人影をロングでとらえ、カメラがズームするとその人こそ我らが主人公エース・ベンチュラなのである。これはもちろんデジタル合成でしょうね。この後墜落した飛行機から逃げ出したアライグマの救出に失敗する場面はそのまま『クリフハンガー』の精巧なコピーになっていて、身をよじらせながら谷底にアライグマが落ちて行く場面には大笑い。予告編で観ていても、やっぱり笑っちゃう。

 失意のベンチュラは心の傷を癒すために、中国(?)奥地の仏教寺院で精神修行。そんなベンチュラに新たな仕事の依頼が持ち込まれた。依頼人と案内の僧侶の会話がまずおかしくて、このあたりから既にクスクス笑い始めることになる。このクスクス笑いはベンチュラが僧院を離れると知った僧侶達の乱痴気騒ぎで爆笑に変わるのだが、その後もだめ押し的に階段を使ったギャグなどがあり、まったくサービス満点です。

 今回ベンチュラが探す動物というのがコウモリなんだけど、彼がコウモリを毛嫌いしているというエピソードで笑っていたのは僕だけだったみたい。これって『バットマン・フォーエヴァー』を踏まえたギャグですよね。原住民達に神聖な動物とあがめられているコウモリの名は「シカカ」と言うんだけど、この名を唱えるだけで原住民達がひざまずくことをギャグにするところもあって、これは笑える。「シシカ、シシカバブー、ショーシャンク刑務所」なんていう台詞があって、映画ファンはニヤリですね。

 全編ギャグ満載で、最後の最後まで笑わせてくれる映画に大満足。何よりキャリーの訓練された芸には、下ネタでも品があるように思えます。


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