ジュマンジ

1996/04/03 松竹セントラル1
ゲームの内容が本物になるロビン・ウィリアムス主演のファンタジー。
映像はCG満載で、それだけでも結構楽しい。by K. Hattori


 19世紀半ばのアメリカ。深夜の森の中で二人の少年があたふたと木箱を土に埋める導入部は、それだけで何やらハラハラさせられてなかなかいい雰囲気。荷馬車を町に戻す少年たちの背後には、町まで1マイルとの標識。ここまではワクワクさせられたのだが、この後がいけなかった。「それから百年」と来たのなら、同じ場所、同じアングルで、同じ町まで1マイルの標識を見せなきゃいけない。二人の少年が木箱を埋めた町外れの森が、町が拡大したことですっかり町の一部になっていることを、この瞬間にわからせてほしかったのだ。映画の流れからしてそれは観客に予想できることなんだから、もったいぶってないで最初からズバリと出すべきです。

 この最初のつまずきが、物語の前半を大いにもたつかせる。アラン少年はもっと早く木箱とジュマンジを見つけるべきだし、アランがジュマンジの中に飲まれるまではもっとスピーディーに展開した方がよかった。それから26年後にパリッシュ屋敷に越してきた子供たちが、再びジュマンジを見つけ、成長したアランがジュマンジから抜け出すまでも、やたらと時間がかかって疲れるばかり。主人公はジュディでもピーターでもなくアランその人なんだから、もっと早く登場してくれなくちゃ困る。

 さんざん登場を待たされただけあって、ロビン・ウィリアムズ演ずるアラン・パリッシュの登場以降は物語が一気に加速する。よくこの手の映画を「ジェットコースター・ムービー」と形容するが、ウィリアムズの登場はコースターがレールの頂点から、まさに下方向に向かって走り出した瞬間に相当するのだ。ジェットコースターは大小の起伏を超えながら、左右に大きく蛇行し、時にはぐるりと一回転。息もつがせずゴールに向かって突き進む。スリルは満点だが、命の危険を感じさせるようなものではない点も、この映画はジェットコースターに似ている。どんなに危険な目にあっても、それはどこか滑稽で笑ってしまいそうになる。ジュマンジは過激を極める危険なゲームだが、根本的なところでは健全な娯楽装置なのだ。

 ロビン・ウィリアムズ意外には地味な顔ぶれの映画で、かろうじてジョディ役のキルスティン・ダンストが目立つぐらい。サラ役のボニー・ハントは『ベートーベン』シリーズの母親役だそうだが、あまり印象に残っていないなぁ。ウィリアムズとハントの中年コンビはなかなかいい味わいを出していて、子供がそのまま大人になったような感じがうまく出ていました。

 クライマックスまで延々エスカレートして行くドタバタもすごいけど、数々の試練を克服して全員がハッピーになるエピローグはとても素敵。人生を途中で投げ出すなという教訓なのでしょうね。


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