ボーイズ・オン・ザ・サイド

1995/10/05 新宿ジョイシネマ4
役者たちの個性が生きている女3人の友情物語。ドリュー・バリモア最高!
音楽がすごく素敵なのでサントラ盤を買ってしまった。by K. Hattori



 女同士の友情を描いた映画。こりゃ泣ける。主演はウーピー・ゴールドバーグ、メアリー・ルイーズ・パーカー、ドリュー・バリモア。それまで他人同士だった3人の女が、ひょんなことから共同生活。前半はロードムービー風、後半は密度の濃いお芝居を観るような、厚みのある映画です。

 ゴールドバーグという役者はちょっとクセがあって、画面に登場すると、場を全てさらってしまうようなイヤらしさがあるんだけど、この映画の彼女はすごく自然体でよかった。NYの売れない歌手という設定もよい。『天使にラブソングを…』でも披露した歌声を、この映画でも冒頭から聞かせてくれます。後半、彼女が歌ういくつかの場面では、涙ボロボロになること請け合いです。

 ルイーズ・パーカーは、現在ハリウッドで幸薄い女を演じるとナンバーワンの女優。『依頼人』に続いて今回も男運が悪い哀れな女を演じているが、『わが街』でも『フライド・グリーン・トマト』でも『最高の恋人』でも薄幸の女だった。ああ、つくづくこの手の役が続くなぁ。そのたびに僕はたっぷりと泣かされてしまうんです。(単にそういう映画しか日本で公開されないだけだったりしてね。)

 一方、最年少のバリモアは、今回も元気いっぱい。この人は演技は、芝居なんだか地のままなんだか、よくわからないようなところがあるんですが、実はしっかりと芝居をしているんだよね。『バッド・ガールズ』もかっこよかったけど、この映画のバリモアはとっても素敵。彼女の代表作のひとつになることでしょう。この映画を観た人は、もう彼女のことを紹介するとき『E.T.』を引き合いには出さないはずです。(彼女は『バットマン・フォーエヴァー』じゃ影が薄かった……。)

 この映画の中にはエイズという問題が大きく影を落としているんだけど、それはすでに物語の背景でしかない。トム・ハンクスが目玉をひんむいて熱演した『フィラデルフィア』という映画よりはるかに自然に、この社会問題をストーリーの中に取り込んでいる。アメリカ社会では、かようにエイズが日常のこととなっているのであろうか。この映画にはゲイも登場するんだけど、エイズに関しては異性からの感染ということになっている。このあたりも、この病気の蔓延ぶりがうかがえて興味深い。興味深いが、ヒトゴトではない。日本もいずれこうなる。

 それにしても、音楽の使い方がうまいんだなぁ。冒頭のジャニス・ジョプリンとか、カーペンターズとか、インディゴ・ガールズとか……。ルイーズ・パーカーの歌をゴールドバーグが引き取って歌い、カメラがゆっくりパンしながら空っぽになった車椅子を映し出すシーンには泣けた! 久しぶりにサントラ盤が買いたくなる映画でした。


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