クレージー黄金作戦

1995/02/11 大井武蔵野館
ラスベガスで撮影したミュージカルシーンだけで満足。
お話事体はつまらないんだけどね。by K. Hattori


 米国ロケまでしたクレージー映画の大作だが、メンバーたちがなかなかアメリカに渡らないので参った。申し訳ないが、途中ですこ〜し眠ってしまいましたよ。目が覚めたとき、ちょうどパンナム機が羽田を飛び立つところでした。

 ギャンブル狂の僧侶・植木等と、100万ドルの財宝が隠された鉱山の地図を相続した谷啓、それに田舎代議士・ハナ肇が繰り広げるアメリカ珍道中。クレージーの他のメンバーは、それぞれ日本領事、通りすがりのインディアン、アメリカのギャングなどに扮するが、このあたりはちょっと苦しい。アメリカにギャンブル留学している浜美枝や、ギャングが谷の地図を奪うために彼と無理矢理結婚させたアメリカ娘なども巻き込んで、映画の後半は結構盛り上がる。(前半も盛り上がっていたのかもしれないが、なにしろ寝ていたのでわからない。トホホ。)

 メンバーの処理に関しては、『クレージーメキシコ大作戦』の方がうまかった。あれはまがりなりにも全員日本人(日系人)という設定だったものね。『クレージー黄金作戦』では植木・谷・ハナ以外のメンバーが、どう考えたって付け足しだもの。インディアン役の犬塚はともかくとして、残りの3人は無理に放り込んだって感じだったな。登場人物同士がストーリーの上でうまくかみ合っていない。

 そんな物語の中に突然現れるミュージカル風場面。植木たちが命からがらラスベガスに到着すると、音楽と共になんの説明もなくクレージーのメンバー全員が勢揃い。人気のない駐車場みたいな所から、ネオンがきらめくラスベガスの中心街まで、歌い踊りながら行進する。明らかにロケと思われるこのシーンはすごく楽しいし、バックにいるアメリカ人たちが何ごとかという表情でこれをながめているのもいい。ちょうど『踊る大紐育』でみた、ロックフェラー・センター前のシーンみたいでいいなぁ。このシーンが終わると、またなんの説明もなく元の世界に戻るのだから不思議。考えてみりゃ、クレージーのメンバー全員が渡米した理由なんて、このワン・シークエンスにしかないんだな。

 終盤のギャングとの攻防や宝探しは、ちょっとあっさり作りすぎているとも思う。ま、このあたりは『メキシコ大作戦』で埋め合わせをするしかない。ここまでいろいろ詰め込むと、それぞれのエピソードをみっちり描くだけで、延々5時間ぐらいの超大作になりそう。脚本段階で素材を盛り込みすぎたせいで、ひとつひとつのアイディアが未消化なまま流れている感じもするけど、まぁ、それが贅沢な感じを出していなくもない。惜しげもなく垂れ流されるギャグとアイディア。

 オチはちょっと大衆のモラルにおもねりすぎ。彼らには最後まで、既成の枠を超えていてほしかった。


ホームページ
ホームページへ