大冒険

1995/01/21 大井武蔵野館
アパート暮らしの発明狂・谷敬とお調子者の隣人・植木等が、
ナチス残党の世界征服計画に巻き込まれる。by K. Hattori


 世界各国に精巧な偽札が出回っているというニュースを、各国のニュースキャスターが読み上げるオープニング。偽札は東西両陣営にばらまかれており、ついには日本にもニセ一万円札が出現。その印刷技術は精緻を極め、専門家にも本物との見分けがつかないと言う。それが偽札だと断定するにたる唯一の物証は、2枚の札に全く同じナンバーが印刷されていること。つまり、2枚の内どちらかがニセモノ、もしくは双方共に偽札の可能性もある。

 ……という閣議の深刻さとは全く別の次元で、ここに偽札を作り出してしまった男達がいた。発明狂の谷啓と、隣室の住人で谷のエージェントまがいで大儲けをもくろむ植木等である。彼らは総天然色複写機の発明に没頭し、ついに完成した新発明の試験に大蔵省造幣局発行の千円札と1万円札を選んだことから、騒動に巻き込まれることになる。

 むむむ。偽札と言えば、どこかで偽札をあつかった抜群に面白い映画を観たような記憶があるのだが。あ。『ルパン三世/カリオストロの城』だった。

 『大冒険』1965年の映画だから、なんと僕の生まれるより前の映画ではないか!(当然『カリオストロの城』のはるか以前の映画です。)当時の金銭感覚が良くわからないのだが、逆にそれが興味深くもあるなぁ。一流のナイトクラブでボトルを空けて、会計が1万8千円ということになっていたけれど、これって今の金額にするには何倍にすればいいの? 10倍? それとも20倍?

 植木たちを偽札犯人と目星をつけたハナ肇らの刑事グループ。これにからんでくる真犯人グループ。犯人の背後には、ナチスの影が……。

 申し訳ない! 僕はこのあたりで猛烈な睡魔に襲われて、前後不覚になっていました。内容が退屈だったわけではないんですが、なんだか疲れていたんです。まぁ映画の内容も、このあたりからだんだん予想を裏切らない展開になって、安心して観ていられるようになってしまうんだけどね。

 ナチスの潜水艦が登場して、主人公達を連れて秘密基地のある孤島に到着。むむむ。この展開は以前どこかで観たことがあるぞ。思い出した。『レイダース/失われたアーク』だ。この後、ナチスの秘密兵器は登場する、海上からの艦砲射撃はある、ヘリコプターでの決死の脱出はある、派手な爆発シーンもある、秘密基地は島ごとバラバラになって海に沈む。特技監督・円谷英二。『ハワイ・マレー沖海戦』以来のミニチュア職人芸。すごいぞ〜、パチパチ。

 これだけ派手なのに、僕は何か物足りない。昔の映画だからギャグがわからない、というわけではないと思う。最初の数十分間は猛烈に面白かったんだけど、後半になってキャラクターの性格描写が甘くなってくるのかなぁ。寝ていたのも良くなかった。


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