シティ・スリッカーズ2

1994/10/02
ビリー・クリスタル主演のウェスタンコメディ。前作の出演者勢揃い。
死んだはずのジャック・パランスもなぜか再登場します。by K. Hattori


 『キャリー』を思わせるオープニングにまずドキリ。ついでニヤリ。愉快なオープニングのアニメもそのままに、あの『シティ・スリッカーズ』が帰ってきた。前作の話題は『シェーン』の悪役スター、ジャック・パランスが主人公たちを導く老カウボーイを演じたことでした。彼が演じるカーリーは劇中で安らかに死を迎えますが、なぜかパート2の本作にもパランスが登場します。幽霊? 回想シーン? いえいえ。なんと図々しくも、カーリーの双子の弟デュークというのが、今回の彼の役回りです。

 主人公たちが窮地に落ち込んだ所で、太陽を背にした逆光で突然登場するパランス。黒ずくめのガンマンスタイルで、悪人連中をさっさと撃退する。年季の入った彼の立ち振る舞いは、やっぱりかっこいい。さまになっている。ビリー・クリスタル、ダニエル・スターン、ジョン・ロビッツといった俳優たちの中にパランスがひとり入っただけで、画面がきりりと引き締まるのですね。新聞記事の写真として若き日のパランスの肖像が画面に登場しますが、これもかっこいい。『バグダット・カフェ』にも出演していたと思うけど、画面に出てくるだけで味のある、いい役者です。(こういう書き方って、芝居は下手だと暗に言っているみたいだけど……。)

 今回の物語はクリスタル演ずる主人公のミッチと弟グレンの、確執と和解を大きなテーマにしている。カーリーが遺品の帽子の中に残した地図をたどって、宝探しの珍道中。その間に、ミッチとグレンが互いの心のわだかまりを捨てて和解するという筋書き。これにカーリーとデュークというもう一組の兄弟話がからむから、この映画のテーマのひとつは〈兄弟愛〉といったところだろうか。

 残念なことに、今回の脚本はあまりできがよくない。物語の本筋である宝探しも、冒険らしいワクワクした楽しさが感じられないし、ミッチとグレン、カーリーとデュークの兄弟愛も、うまく描けていたとは思えない。エピソードや伏線のいくつかは物語途中に宙ぶらりんで取り残され、落ちどころを失って放置されたままだ。例えばダニエル・スターン演じるフィルのエピソードは、何の解決も与えられないまま終わる。グレンの職探しも忘れ去られる。宝さえ見つかれば全てが解決するわけではないはずなのに、唐突に物語は打ち切られてしまった印象を受ける。

 しかし、パート2映画の役目は面白さ以上に、同窓会的に顔ぶれをそろえるところ。その意味では、ジャック・パランスが再登場しただけでもこの映画を観る価値はある。前作同様いかにも西部劇風の勇壮な音楽と、それに合わせて走る馬たちなど、過去の西部劇に対する露骨な郷愁を漂わせるつくりも、好きな人にはたまらないはず。終盤でデビット・ペイマー等、前作のメンバーをちらりと登場させるのも心憎い。僕は十分に楽しみました。


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