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1994/07/04
吉永小百合扮する新聞社の論説委員が大活躍する映画のはずなのに、
物語は迷走して着地点を失ってしまう。by K. Hattori
映像の粗いタッチは『青春デンデケデケデケ』に近いのですが、クローズアップの多用や早く細かいカット割りは『水の旅人』を思わせます。物語展開のスピード感や躍動感にはウキウキしますし、出演している俳優たちの豪華さにも目を見張ります。しかし、展開させた物語は収れんしないまま空中に放り出されてしまい、なんだか中途半端な雰囲気のまま映画は終わってしまいました。
吉永小百合が主演の映画としては、彼女の存在感が薄いのが欠点です。主人公は一癖も二癖もある男や女の周囲をぐるぐると歩き回っているだけで、主人公として物語を引っ張っていくだけの求心力が足りません。これが吉永小百合という女優の欠点なのか、演出した大林監督の失敗なのかは定かでありませんが、少なくともできあがった映画はあまり魅力的とは言えません。
映画は前半が圧倒的に面白く、特に新聞社論説室にたむろする新聞記者面々の描写などは実に生き生きとしていました。この勢いで映画全体を乗り切れれば、一風変わった傑作になっていたと思うのですが……。