天使にラブ・ソングを2

1994/06/21
パート1に比べるとお話は平坦だが、音楽映画としては楽しい作品。
ドロレスと彼女の教え子たちに拍手喝采。by K. Hattori



 パート1に比べてレベルダウンという評が多いのですが、僕はこの映画を無茶苦茶楽しみました。確かに前作に比べれば物語にはヒネリがないし、全体に一直線で平板。でもそれはそれで全面肯定してしまうのよ、僕は。前作の面白さは、売れないクラブ歌手のデロリスが修道院に逃げ込んで尼さんの合唱団に紛れ込むというミスマッチの面白さだったんだけど、パート2になるとその面白さは二度と味わえない。これは当たり前。もはやデロリスが修道女の格好をしても面白くないんだものね。で、どうするか。この映画はミュージカル・シーンをパワーアップすることで、この点を補っているのですね。

 画面せましと溢れるラスベガスのイルミネーションに音楽がかぶさるオープニングから、僕は既にこの映画の虜。前作の何十倍もパワーアップしたウーピー・デロリスのステージシーンと、そこで繰り広げられるお約束のソウルメドレーに胸は高鳴り、会場に現れた顔馴染みの尼さんたちにニヤニヤ。これだけでもこの映画を見に来た価値があるってものです。その後、マギー・スミスの修道院長が高校の現状を嘆いてデロリスの復帰を求めるあたりで少しだれますが、ウーピーが音楽室に一歩足を踏み入れたとたんに物語は加速しはじめ、あとは怒涛の如くラストシーンに突入します。学校の教師には嬉しいかなあの『フィッシャー・キング』のオカマ歌手、マイケル・ジェターの姿があり、彼を知っている人の期待をあおるのだ!! 彼がいつ歌声を聞かせるかは見てのお楽しみ。

 パンフレットを見ると劇中では明らかに使用されていないシーンのスチルが多数あって、編集の段階でかなりドラマ部分を削ったであろうことをしのばせます。そのため、ドラマ部分には深みがほとんど、まるで、からきしない。でも、こんなところで高校生の青臭い悩みにデロリスを付き合わせなかったのは正解だと思う。僕はミュージカル・シーンが観たいのじゃ! はっきり言って、音楽映画やミュージカルが苦手な人には物足りない映画でしょう。でも僕はそれが好きなので、この映画には大満足。文句のつけようがありません。

 エンディングがしゃれてます。ここでニヤニヤが止まらなくなった僕は、その後も3時間ばかり思い出し笑いをしていました。今もこれを書きながらニヤニヤしています。


ホームページ
ホームページへ