ジェロニモ

1994/05/25 東劇
映写条件が悪くて映画の中身があまりよく頭に入らなかった。
映画鑑賞にはこうしたリスクもある。by K. Hattori



 映画の内容以前に一言いいたい。僕がこの映画を観たのは東銀座の東劇だったのですが、画面のフォーカスが極めて甘く観るに忍びない状態だった。特に画面の中央部分がひどい。美しい風景も、人物のロングショットも全部ボケボケ。観ていてイライラし通しでした。不思議なことにこの焦点の甘さはひどくなる時もあるし、全く正常に映写される時もある。気にして観ていると、どうやら字幕が入るときには大抵ボケるようでした。物語の進行につれて気にならなくなってきたのは、映画の世界に埋没したためか、それとも状態が改善したのかよくわからない。フォーカスが甘い時でも字幕の輪郭はしっかりしていたから、単純に映写機の問題とは思えないのだけれど……。以下、僕の仮説。

  1. 劇場の映写機とレンズに原因がある。
  2. 映写機に掛けるプリントが不良品だった。
  3. 字幕を入れる行程で、フィルムと字幕用ネガの密着が甘かった。
  4. 単なる気のせい。
  5. 僕のメガネのレンズが汚れていた。
  6. 映画の一部にひどくワイセツな映像があったため、わざとボカしている。

 こんな状態で映画を観たので、今一つ物語に没入できませんでした。僕の観た回がたまたまそうだったのか、東劇の映写設備やプリントがダメだったのか謎ですが、他にこの映画をご覧になる方がいれば、気をつけて観ていてください。もし何らかの理由で映画のプリント自体に問題があるのだとすれば、これは映画館に足を運ぶ客をなめているとしか思えない。大画面でクリアーな映像を観るのが映画館の醍醐味なのに、それが果たせないのではしょうがないですよねぇ。

 で、映画の方ですが、オープニングで騎兵隊とインディアンの短い戦闘シーンを見せたのと、ジェロニモが保留地から逃走するシーン以外は大がかりなアクションシーンがない。メキシコの酒場でちんぴら白人とジェロニモ追撃隊が撃ち合うシーンはサスペンスたっぷりだけど、ここにもアクションのカタルシスはない。広大な大地を駆けめぐる馬の大群や、独特のかけ声をあげながら疾走する騎上のインディアンの姿もほとんど観られない。要するに、ぜんぜん西部劇らしくないのです。映画はひたすらジェロニモと彼を追う騎兵隊の将校を描きます。ジェロニモの大胆不敵な面構えや、どこか寂しげな表情の騎兵隊将校。言葉に出しはしないが、目と目で語り合う男と男の友情。そんなものが描かれているのかもしれないけれど、なにしろ画面がピンボケなので、そこまで観ることができませんでした。



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