スリー・リバーズ

1993/11/12
話は面白いしブルース・ウィリスもよかったのに……。
ヒロインをもっと美人にしてくれよぉ。by K. Hattori



 親戚中がみんな警官で、いとこの警官の不祥事について証言したため警察組織から孤立するという設定は面白いと思うし、水上警察というのも目新しい。相棒になる女性との恋愛も、描き方によっては魅力的になったと思う。

 ところがパッとしなかった。何と言っても脚本が悪い。ひとつひとつのアイディアや複線が、なかなか利いてこないのだ。魅力的なエピソードの種は多いのだが、そこから芽が出て物語を紡いでいくことはない。主人公の家族構成もわかりずらかったし、パーティー場面で出てきた親戚一同も、このわかりずらさに輪をかけただけだと思う。プロットの欠点を、演出と役者の演技で強引に乗り切ってしまったのはハリソン・フォード主演の『逃亡者』だが、残念ながら『スリー・リバーズ』にそのパワーはない。犯人の性格設定もありきたりの性格異常者で、新しさを感じることはなかった。

 主演のブルース・ウィリスは相変わらずの役柄だが、さすがに似たような役柄を繰り返しているだけのことはあって、今までの映画の中では最高の演技ではないだろうか。残念なのは、その演技を受けとめる器としては、この映画が決してできのいいものではなかったということだ。

 この映画は最初の10分間が最高にスリリングだ。ラジコンのパトカーが部屋の中を走り回るというアイディアは面白い。また、直後につづくカーチェイスもテンポがよくてスリルも満点。適度なユーモアも交えながら、ぐいぐいと観客を引き込んで行く。僕が最近観た映画の中では、一番迫力のあるカースタントだった。それに比べると、クライマックスのボートでの追っかけは、『パトリオット・ゲーム』の二番煎じ。ひろみさんが思いだせないでいる映画というのは、実はこのあたりではなかろうか。



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