キャプテンハーロック

2013/06/28 東映第1試写室
世界観や人物設定などを大幅に変更してのリブート作品。
物語の結末に不自然さが残る。by K. Hattori

13062801  遠い遠い未来……、あるいは遠い過去の物語。全宇宙に進出した人類は成長の限界を迎え、今は故郷である地球への帰還を夢見るようになっていた。だが衰えたとは言え、一度は宇宙全体に広がった人類を地球が収容しきれるはずがない。人類は地球帰還を争って「カムホーム戦争」を引き起こし、統治機構であるガイア・サンクションは全人類の地球を立ち入り禁止と引き替えに紛争に幕を引いたのだった。それから100年。全宇宙を「あきらめ」という名の秩序が覆う中、ガイア・サンクションの支配にひとり反旗を翻す男がいた。それは宇宙海賊キャプテンハーロック。ガイア・サンクションはハーロックを暗殺するため、腕利きの工作員ヤマをハーロックの船アルカディア号に潜入させる。彼はガイア・サンクションの下部組織ガイア・フリートの長官イソラの弟なのだ。ヤマはハーロック配下の海賊の一員となり、ハーロックが企む恐るべき計画の真相を知るのだった……。

 松本零士原作の「宇宙海賊キャプテンハーロック」を3DCGアニメにしたもので、劇場では2Dと3D同時公開だが、今回の試写は2D。ハーロックは松本作品の人気キャラクターだが、作品ごとに世界観の設定がいろいろと変化する。それはこの映画でも同じで、これまでの作品にない新しい設定のハーロックになっている。僕は原作やテレビアニメ版などはほとんど見ていないのだが、『銀河鉄道999』などを通じて間接的にハーロックに触れざるを得なかった世代だ。この映画でもトリさん、ミーメ、ケイ、ヤッタラン、そしてトチローなど、原作由来のキャラクターが大勢登場している。台羽正はヤマにポジションを譲っているので出番なし。クイーン・エメラルダスも出てこなかったのは残念だが、今回のストーリーだと割り込ませるのは難しかったと思う。

 オリジナル色の強い脚色と脚本は福井晴敏の手によるものだが、この映画のアルカディア号は海賊船と言うよりむしろ幽霊船だ。ダークマター機関で無限の航行能力を持ち、船体の損傷も自動的に修復される。ハーロック自身もダークマターエネルギーの力で不死身の肉体となっており、その年齢は既に100歳を超えているというのだ。これはハーロックと言うより、宇宙版のヘクター・バルボッサ(『パイレーツ・オブ・カリビアン』でジェフリー・ラッシュが演じている呪われた海賊)みたいなものだ。ルーツはワーグナーのオペラで有名な「さまよえるオランダ人」だろうから、別に他の映画のパクリだと言うつもりはないけどね。

 しかしこの映画、ストーリー展開上で腑に落ちないところが多数ある。不死身の船長で船員はどうなのだ?といった部分も奇妙だが、特に終盤はどう考えても辻褄が合わない。話を広げるだけ広げて尻切れトンボ。これと同じような印象を持った映画が以前あった。あれは確か……。『銀河鉄道999 エターナル・ファンタジー』だ。

(原題:Space Pirate Captain Harlock)

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9月7日公開予定 超拡大ロードショー
配給:東映 宣伝協力:KICCORIT 宣伝:P2、bronco.
2013年|1時間55分|日本|カラー
関連ホームページ:http://harlock-movie.com
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
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