シルク・ドゥ・ソレイユ 3D
彼方からの物語

2012/10/25 パラマウント映画試写室
世界最大のエンタテインメントを映画館のスクリーンで3D鑑賞。
臨場感あふれるショーの素晴らしさ。by K. Hattori

Cds3d  1984年にカナダで設立された、世界最大級のエンターテインメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」。本作はアメリカのラスベガスで上演されている7つのショーから見どころを抜粋して、物語形式につなぎ合わせたスペクタクル・エンタテインメントだ。サーカスの空中ブランコ乗りに恋をしたヒロインが、不思議なサーカスの世界を旅しながら彼を探すという筋立て。ヒロインの移動に伴って次々に目を見張るような舞台が展開していく様子は、ディズニーアニメ「不思議な国のアリス」のようだ。

 シルク・ドゥ・ソレイユの3D映画はこれが初めてではなく、今から10年以上前に『シルク・ド・ソレイユ/ジャーニー・オブ・マン』というIMAX-3D用の映画が日本でも公開されている。シルクの演目を数珠つなぎに配置し、その間を「旅する主人公」の物語で埋めていくという構成は、本作も『ジャーニー・オブ・マン』も同じだ。完全オリジナルで映画のためだけの演目を作っているわけではないので(映画用の演目もあるけれど)、シルクの映画を作るとなれば、否応なしに同じような構成にならざるを得ないのかもしれない。

 物語形式の映画ではあっても、ストーリーはシンプルであり、出し物の間は基本的にパントマイムでドラマが進行する。小さな子供が観に行っても、吹替版がなくて苦労することはないと思う。とにかく目の前で繰り広げられるショーの素晴らしさに見とれているうちに、1時間37分はあっと言う間に過ぎてしまう。基本的にはすべてがライブアクション。ショーが行われているテントをつなぐ場面だけはCGで、あとはほとんど全部が3Dのライブ。生身の人間が繰り広げる、まさに究極のサーカスだ。3D映像で観るショーは、実際にその場で生のステージを観ているような臨場感。さらに舞台では決してお目にかかれないハイスピード撮影や目まぐるしい視点の移動などもあり、映像表現としての面白さを堪能することができる。

 ストーリーらしいストーリーは特にないようなものだが、これは間違いなく、最近観た映画の中では群を抜く面白さ。こういう映画を観ると「映画は物語ではなく絵だ!」ということが実感できる。しかし単にショーの抜粋を並べただけでは、やはりこの映画にはならない。ヒロインが不思議なサーカスに迷い込み、シルク・ドゥ・ソレイユの世界を旅して、最後に自分自身もシルクの世界に入り込んでいくという構成が、観客を自然に映画の世界に引き込んでいく効果もあるのだ。

 シルク・ドゥ・ソレイユの入場料はかなり高価なものだと思うが、この映画は各ショーの見どころをたっぷり見せた上で、3D特別鑑賞量込みでも入場料は2千円以下だろう。これはコストパフォーマンスの高い映画だ。試写室でもたっぷりと楽しめた映画だが、これは劇場でぜひもう一度観てみたいと思う映画だった。できれば次は大画面のIMAXで!

(原題:Cirque du Soleil: Worlds Away)

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11月9日公開予定 TOHOシネマズ有楽座ほか全国ロードショー
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン 宣伝:マンハッタンピープル
2012年|1時間37分|アメリカ|カラー
関連ホームページ:http://www.cirque-3d.jp
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