バイオハザードV

リトリビューション IN 3D

2012/08/30 丸の内ピカデリー3
ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の人気シリーズ第5弾。
単純明快なサバイバル・アクション。by K. Hattori

Baiohazado5  同名人気ゲームをミラ・ジョヴォヴィッチ主演で映画化した『バイオハザード』シリーズの最新作。1作目の公開が2002年だったので、今回はシリーズ10周年作品。10年で5本だから2〜3年に1本ずつ新作が公開されている勘定で、次の6作目が完結編になるという。IMDbにも情報はないのだが、これまでのペースなら2014年か15年頃の公開だろうか。間隔を2〜3年あけて次々シリーズを作っているので、僕などは前の映画のことをほとんど忘れてしまう。それでもこのシリーズが成り立つのは、これがビデオ時代の映画だからだろう。ビデオソフト(DVDやBlu-ray)で過去の作品を観た人にとって、この映画はシリーズ開始から10年経過の大長編という感覚がないのかもしれない。なおこのシリーズは1作目をポール・W・S・アンダーソン監督が手掛けた後、アレクサンダー・ウィット、ラッセル・マルケイに監督がバトンタッチされたが、前作から再びアンダーソンが監督復帰。本作でもアンダーソン監督がメガホンを取っている。

 毎回あれこれとSF的な設定を繰り出して内容をグレードアップしてくるシリーズだが、今回はシンプルな脱出アクションだ。アンブレラ社が北極圏の海底に建設していた巨大施設の奥深くに監禁されたアリスは、仲間たちの手を借りながらそこから脱出しようとする。施設内には生物兵器のセールス用に東京やニューヨークなど世界各地の都市を模したシミュレーション環境があり、アリスはそれらの施設を次々に通過して行くのだ。これによって映画では、ひとつの状況が終わればまた別の状況に場面転換するという、まさにビデオゲーム的な状況が生まれてくるのだ。登場するキャラクターはクローン技術で生産されているという設定で使い回されるのだが、これもまたビデオゲーム的だろう。今回は10周年記念作というわけでもないだろうが、シリーズ1作目の懐かしキャラが再登場しているのも見どころ。特殊部隊の女性隊員役だったミシェル・ロドリゲスが、一人二役で大活躍しているのが嬉しい。

 本作から登場する新キャラクターとして、ゲーム版に登場している人気キャラクター、エイダ・ウォンが登場するのも見どころだろう。演じているのは中国の人気女優リー・ビンビン。シリーズのヒロイン、アリスに匹敵するパワフルなキャラクターで、このキャラクターは次の6作目にも引き継がれそうだ。リー・ビンビンは『ドラゴン・キングダム』や『雪花と秘文字の扇』に続く英語作品だが、彼女も今後はハリウッド映画に積極的に出演して行くのかもしれない。

 とにかくいろいろな仕掛けがびっしり詰め込まれた、幕の内弁当みたいな映画になっている。上映時間は1時間半ちょっとでコンパクトだし、3D効果もたっぷり見せて満足度は高い。ただしシリーズ作品として観た場合、ストーリーがぜんぜん先に進んでいない。今回は完結編へのブリッジだ。

(原題:Resident Evil: Retribution)

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9月14日公開予定 丸の内ピカデリーほか全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2012年|1時間36分|アメリカ|カラー|スコープサイズ|SDDS、SR*D
関連ホームページ:http://www.biohazard5.jp
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
サントラCD:Resident Evil: Retribution
主題歌CD:明日世界が終わるなら(中島美嘉)
関連DVD:バイオハザード・シリーズ
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