シリーズ1作目の公開が1997年。2作目は5年後の2002年に公開されて、今回の3作目は10年たった2012年公開。この分だとシリーズ4作目は2032年に公開されそうだが、とりあえず今回はシリーズ初の3Dが売り。主演のトミー・リー・ジョーンズ、ウィル・スミス、監督のバリー・ソネンフェルド、製作のスピルバーグ、音楽のダニー・エルフマン、特殊メイクのリック・ベイカーなど、主要なスタッフとキャストはそのまま継承。たぶんこういう人気シリーズの場合、この顔ぶれを毎回再結集させるだけでも調整に時間がかかってしまうに違いない。
月面にある宇宙刑務所から、40年前にKが逮捕したボグダイト星人の殺し屋ボリスが脱走した。ボリスがKに40年前の過去に戻ってKを殺害したことから、歴史は大きく変わって、地球はボグダイト星人の侵略を受けることになってしまう。Jはタイムマシンを使ってボリスに先回りし、過去に戻ってくるボリスを待ち伏せしようと考えた。行き先は1969年7月15日。ところがボリスを見つけたJは遊園地で騒ぎを起こし、MIBに逮捕されてしまう。Jを逮捕したエージェントは、若き日のKだった。ふたりは力を合わせて、ボリスの行方を追うのだが……。
物語はJとKのコンビが宇宙人の凶悪犯を追いかけるという点で過去のシリーズを踏襲しているが、Kが40年前の若い姿になっているため、過去のシーンではトミー・リー・ジョーンズからジョシュ・ブローリンに交代する。若いKと未来から過去にやって来たJは初対面だから、最初の内は互いの手の内が読めずにギクシャクする。それを乗り越えて互いに信頼を深めていくあたりはバディムービーの定番設定で、これはシリーズのマンネリを打破するためのいいアイデアだったと思う。
この映画が企画されたのは2009年だそうだが、この年はアポロ11号の月着陸40周年で盛り上がっていた。この映画も発想の原点はそのあたりにあるのだろうが、製作中に3年たって、アポロブームが一段落したのがかえって良かったかもしれない。映画の中で主人公たちが、1969年という年号やその年に起きる出来事に対して、あまり頓着せずにサラリと描かれるのだ。もっとも映画の中ではこの時点で、外宇宙からの生命体がたくさん地球にやって来ているわけだから、少なくともMIBのメンバーにとってはアポロが月に行くことに特に大きな意味や意義はないのかもしれない。このあたりもあまり深く踏み込んでいくと、この映画がアポロ計画の無意味さやナンセンスさを主張しているように見えてしまう可能性があるわけだが、そこをごく軽く、この時代の歴史的な事件のひとつとして描いているのは絶妙のバランスだと思う。
ジョシュ・ブローリンの若いKはかなりのハマリ役だと思うので、今後は1969年から1997年までの空白時代を、彼に演じてもらってもいいかもしれない。
(原題:Men in Black III)
サントラCD:Men in Black 3
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