1911

2011/10/19 東映第1試写室
中国の王朝支配に終止符を打った辛亥革命の映画化。
ジャッキー・チェン出演100本記念作。by K. Hattori

1911  現代中国の原点である辛亥革命から今年で100年であることを記念し、中国・香港合作で作られた歴史大作。中国は古代から数多くの王朝が次々交代する国家だったが、17世紀から続く清王朝が20世紀初頭に革命によって倒され、中国は近代国家への第一歩を踏み出す。革命が起きた1911年の干支が辛亥(かのとい)だったことから、これを「辛亥(しんがい)革命」と呼ぶ。幕末維新で新政府軍と旧幕府軍が戦った戦争を「戊辰(ぼしん)戦争」と呼ぶが、これも明治元年(1868年)の干支が戊辰(つちのえたつ)だったことにちなんだもの。辛亥革命は戊辰戦争からほぼ40数年後の出来事だが、中国の革命指導者たちは日本の明治維新に大きな影響を受けていたという。

 映画は革命の指導者である孫文と、革命軍の司令官として戦闘の指揮を執った黄興の友情を軸に、辛亥革命の勃発から、中華民国成立と孫文の臨時大統領就任、袁世凱との駆け引きと清朝の壊滅、孫文の大統領辞任までを描いている。孫文を演じるのは『宗家の三姉妹』以来いくつもの作品で孫文を当たり役にしているウインストン・チャオ。孫文の親友であり同士でもある黄興を演じるのはジャッキー・チェン。彼らと同じ革命派の同士であり、後に黄興の妻になる徐宗漢にリー・ビンビン。ジャッキー・チェンは本作が映画出演100本目の記念作。今回は総監督を務めるなど、力の入った作品になっている。実在した革命家の役ということもあり、ジャッキーらしいコミカルでアクロバティックなアクションシーンは今回ほぼ封印。1個所だけジャッキーらしいアクションを見せるのは、彼なりのファンサービスだろう。

 上映時間2時間2分だが、映画冒頭に辛亥革命についての説明映像が少し付けてあるので、実質的な上映時間は2時間弱。これで辛亥革命(第一次革命)の全体を描くのは、ちょっと大変だったようにも思う。映画の印象は大河ドラマのダイジェストだ。大きな事件ごとにそれぞれ有名な革命家や勇者が登場しては消えていくので、試写から戻ってプレス資料を見ながら、WikipediaやGoogleであれこれ調べまくってドツボにはまった次第。映画の中にほんのわずかしか登場しない人たちに、それぞれ大きなドラマがあることがわかる。辛亥革命について詳しい人は、映画を観るといろいろ楽しめることが多いはず。詳しくない人は映画を観た後ネットでいろいろ調べて、もう一度映画を観ると前とはまるで違った印象になるだろう。

 辛亥革命はじつは日本とも関わりの深い出来事で、孫文や黄興など多くの革命家たちが一時日本に亡命したり、日本の学校に留学したりしている。孫文と黄興が出会ったのも日本なのだ。日本は辛亥革命における前線基地であり、日本の知識人たちは中国の革命家たちに、封建制度を打ち壊して新政府を樹立した幕末維新の志士たちを重ね合わせていたという。黄興は中国の西郷隆盛なんだとか。

(原題:辛亥革命 1911 Revolution)

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11月5日公開予定 丸の内TOEIほか全国ロードショー
配給:東映 宣伝:ブレイントラスト
2011年|2時間2分|中国、香港|カラー|サイズ|サウンド
関連ホームページ:http://1911-movie.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:1911
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