バイオハザードIV

アフターライフ

2010/09/02 丸の内ピカデリー3
ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の人気SFアクションシリーズ第4弾。
全編リアル3Dでアンデッドも飛び出す。by K. Hattori

Biohaz4  2001年に第1作が公開され、その後は数年ごとに新作が作られている『バイオハザード』シリーズの最新作。もう足かけ10年に渡るシリーズになっているわけで、これはなかなか大変なことだと思う。原作は同名のゲームだが、僕はゲームと無関係に映画版を楽しんでいる。主演のミラ・ジョヴォヴィッチがはまり役なのに加え、ポール・W・S・アンダーソン監督のけれん味たっぷりな演出と絵作りが物語にマッチしていると思う。サスペンスと、アクションと、ミステリーと、ホラー要素とがうまく噛み合っているのだ。さすがに4作目になるとマンネリ化してくる部分もあるのだが(劇中で何が起きても観客が驚かなくなるから仕方がない)、今回はそこに最新の3D映像技術を加えて「新しい映像世界」を見せてくれている。

 すべての発端は東京の渋谷だった。世界最初のアンデッドが発生してほんの数年で、ほとんどの人類は死滅してしまった。数千年かけて築き上げられた文明社会は崩壊し、わずかに残った人間たちは感染のない地域を求めて地上をさまよう。だがそんな惨状を招いた当事者であるアンブレラ社は、世界各地の地下施設の中で危険から守られながら今も懲りずに生物兵器の実験を行っている。アリスは世界各地のアンブレラ社の施設を破壊しながら、生き残った仲間を捜すため地上をさまよう。そんな中、アリスはロサンゼルスの刑務所に数人の人間が生き残っていることを発見。彼らは周囲がアンデッドに取り囲まれる中で、からくも刑務所に逃げ込んで自らそこに閉じこもっている。アリスは彼らと協力して、海上に停泊しているタンカー「アルカディア号」に渡ろうとするのだが……。

 今回の映画は3D映像の実験という意味合いが大きいようで、監督やスタッフたちがさまざまな立体的アクションを映画に盛り込もうとしている意欲が見て取れる。もちろんこれは観客にとっても、いろいろな画面が楽しめることを意味しているわけだが、僕自身は今回の映画に「映像としての楽しさ」は感じても、物語としての面白さをあまり感じられなかった。手を抜いているわけではないのだろうが、作り手の感心が「映像」の方を向いている感じだ。それはアンダーソン監督が、本作で1作目以来の監督に復帰したことでも明らかだと思う。彼はこのシリーズの1作目を監督した後、製作と脚本だけに専念して自分自身で監督をすることはなかった。しかし今回映画が3Dになることで、自分で監督をやりたくなったのだ。今回の『バイオハザード』は次回作として準備が進む3D版『三銃士』に向けての手慣らしであり、いわば習作ではないだろうか。固定客のいるシリーズ映画でなら、多少の実験も許される。

 ただしこれは、観客にとって悪いことではない。この映画は3D版アクションのデモやカタログみたいなもの。話はそっちのけにして、とにかく3D映像の面白さを満喫できればそれでいいのだ。

(原題:Resident Evil: Afterlife)

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9月10日公開 丸の内ピカデリーほか全国同時公開
9月4日・5日世界最速先行ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2010年|1時間37分|アメリカ|カラー|スコープサイズ|SDDS、ドルビーデジタル、ドルビーSR
関連ホームページ:http://biohazard4.jp/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:バイオハザード IV アフターライフ
サントラCD:Resident Evil: Afterlife
関連DVD:ポール・W・S・アンダーソン監督
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