2004年に放送がスタートした「ふたりはプリキュア」に始まるプリキュア・シリーズは、これまで7年に渡って放送が続けられている女の子向けアニメの人気シリーズ。人々の生活を脅かす邪悪な敵と、プリキュアに変身した少女たちが戦うというもの。毎年内容はリニューアルされるのだが、プリキュアという共通項はありながらも世界観はその都度リセットされている。(仮面ライダーやスーパー戦隊シリーズと同じ手法だ。)劇場版は2005年から毎年作られているが、2009年にはシリーズ全作品のヒロインが勢揃いする『映画 プリキュアオールスターズDX/みんなともだちっ☆奇跡の全員集合!』が製作され、本来は暮らす世界が異なっているはずのヒロインたちが勢揃いした。(これもまた、ウルトラマンや仮面ライダーで行われていた手法だ。アメコミで言うところのクロスオーバーみたいなもの。)本作はその勢揃い系映画の第2弾で、2月から始まったばかりの新番組「ハートキャッチプリキュア!」のヒロインふたりが新参加しているのが売りだ。
じつは「ハートキャッチプリキュア!」は、これまでのプリキュア・シリーズから大きく絵柄が変わっている。「フレッシュ」までの描線が細かくスマートな絵柄に対して、「ハートキャッチ」はキャラクターが丸っこくて描線も少なくデザインされているのだ。キャラクターの体型もまるで違うし、顔のパーツのバランスなども違う。今回はそれを同じ映画の中で共演させるために、映画はキャラクターデザインを微妙に調節している。より具体的に言えば、「ハートキャッチ」のふたり組の描画をテレビ版より細かくし、体型や顔のバランスも少し変えて他のキャラクターとの整合性を取っているのだ。もっともアニメのキャラクターというのは記号化された存在だから、この程度のデザイン変更をファンはほとんど気にしないだろう。ルパン三世はシリーズや映画によってずいぶん顔が違うが、見る人にとってはどれも同じルパンなのと同じことだ。
この手の映画はテレビシリーズを見ていた人に対するプレゼントであり、登場キャラにとっては同窓会みたいなもの。それぞれのキャラをまんべんなく登場させて、それぞれに見せ場を作って、それでいて一番新しいプリキュアには花を持たせなきゃならない。そういう意味では何かと制約の多い企画なのだが、この映画はその制約の中で要求されることをきちんと満たした映画になっている。なんと言っても各プリキュアたちの変身シーンが大画面で見られるというだけでも、映画館まで足を運ぶ価値があるというものではないか。変身シーンの描写は、映画向けにブラッシュアップされているようだ。全員が歌い踊るエンディングのダンスシーンは感動的だ。
ピンチになったプリキュアを応援するためのクリスタルミラクルライトは、少なくとも僕が出かけた劇場ではあまりうまく使われていなかった。演出にもう一工夫必要かも。
DVD:映画 プリキュアオールスターズDX2
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