近距離恋愛

2008/06/25 SPE試写室
愛する女性の結婚を止めようとする男のドタバタ劇。
新鮮味はないけど楽しめる。by K. Hattori

Made of Honor 27 x 40 (approx.) Poster  パトリック・デンプシー主演の男女逆転版『ベスト・フレンズ・ウェディング』。学生時代から10年来の付き合いがある親友ハンナが結婚すると知り、突然自分が心から彼女を愛していると悟ったトム。結婚式の介添人を依頼された彼は、何とかこの結婚を妨害して彼女の心を振り向かせようと、あの手この手の努力をする。学生時代から長い付き合いの親友同士という設定には、『恋人たちの予感』の要素も入っているかもしれない。

 学生時代からプレイボーイで知られたトムは大学のパーティでハンナに出会って以来、10年来の友人同士だ。お互い同性の友人も大勢いるが、トムとハンナは周囲の誰もが認める大親友。「いっそ付き合っちゃえばいいのに」と周囲の誰もが思っているのに、当の本人たちにその気はゼロ。しかし仕事で6週間の出張に出かけたハンナがいない寂しさに、トムは自分が彼女を愛していることに気づく。そして6週間後。彼女が帰国したら気持ちを告げようと決心していた彼の前に現れたハンナは、スコットランドで知り合ったという婚約者を連れていた。ハンナと婚約者は結婚式の筆頭介添人(Made of Honor = MOH)に、花嫁の親友トムを指名。心中穏やかでないトムだが、結婚式までの短期間にハンナを自分に振り向かせるためには、常に彼女に寄り添うMOHの立場は好都合。彼女に一目置かれるためにも、MOHの仕事を完璧にこなさねばならない。かくしてトムは愛する女性が別の男と結婚する準備に邁進する羽目になる……。

 映画前半はニューヨーク、後半はスコットランドが舞台になる。スコットランド貴族の暮らしぶりや現地の風俗が映画に盛り込まれていくのだが、これがどの程度現実を反映しているのかは不明。言葉や習慣の違いという異文化ギャップをギャグにしようという目論見なのかもしれないが、これがあまり笑えなかったのはドタバタが足りないからだろう。スコットランド特有の風俗風習を茶化したり冷やかしたりすることを笑いに転じさせようという意図は見えるのだが、それ以前にスコットランドの歴史に打ちのめされてまったのだろう。これはアメリカ人の歴史コンプレックスみたいなものかもしれない。(東洋の風俗風習は平気で茶化したり冷やかしたりするくせに、アメリカ人はどうしようもなくヨーロッパに弱いのだ。)

 それなりに楽しい映画にはなっているのだが、この映画をいったい誰が観るのかという点が大いに疑問。主人公はあくまでも男性なので、この主人公に女性客が共感するような映画ではないと思う。パトリック・デンプシーの人気がどの程度なのかはよく知らないが、彼目当てにどれだけの女性客が劇場に足を運ぶものなのか。かといって男性は、こんな映画は最初から観ないだろう。映画としての良し悪し以前の問題として、映画の商品としてのコンセプトに少々難がある映画化もしれない。

(原題:Made of Honor)

7月12日公開予定 日比谷みゆき座ほか全国東宝洋画系
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2008年|1時間41|アメリカ|カラー|スコープサイズ|SDDS、ドルビーデジタル、ドルビーSR
関連ホームページ:http://www.sonypictures.jp/movies/madeofhonor/
関連ホームページ:The Internet Movie Database (IMDb)
DVD:近距離恋愛
DVD (Amazon.com):Made of Honor
DVD (Amazon.com):Made of Honor [Blu-ray]
関連DVD:ベスト・フレンズ・ウェディング
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