04年に製作された『ナショナル・トレジャー』の続編で、前作のスタッフとキャストを再結集させ、さらにプラスアルファを加えた豪華版だ。主人公のベン・ゲイツが今回追うお宝は、南北戦争末期に南軍の逆転勝利をもたらしたかもしれない黄金都市の伝説。リンカーン大統領暗殺犯ブースが残した日記の断片を手がかりに、フランス、イギリス王室、アメリカ大統領を巻き込みつつ、コロンブスの新大陸発見に先立つアメリカ先住民の遺産へと迫っていく。
『ナショナル・トレジャー』とはタイトル通り、「アメリカという国家の財宝」のこと。アメリカはヨーロッパからの移民が作った国だが、それを受けて前作では、ヨーロッパ経由でアメリカにもたらされた財宝の話になっていた。だがアメリカには先住民もいるわけだし、それもまたアメリカにとって重要な国家の構成要素なのだ。今回の映画はその先住民たちが隠した財宝をテーマにすることで、前作と合わせてアメリカという国家の成り立ちや歴史的な土台を示しているわけだ。
物語としてはちゃんと面白くできているが、この映画の弱点は主人公たちのキャラクターに魅力がないことだ。しかしこれは、おそらく脚本や演出云々の問題ではないだろう。この映画は主役を除く、周辺キャラクターの配役が豪華すぎるのだ。主演のニコラス・ケイジがたったひとりでそれに対抗しようとしても、まるで歯が立たない。何しろ主人公の両親がジョン・ボイトとヘレン・ミレンで、これはどちらもオスカー俳優。前作からの引き継ぎで出ているFBI捜査官セダスキー役のハーヴェイ・カイテルもオスカー候補になったベテラン俳優だし、今回敵役となったエド・ハリスも何度もオスカーにノミネートされている名優。大統領役でブルース・グリーンウッドって、それじゃ『13デイズ』のジョン・F・ケネディではないか。これに対して主人公ベンの相棒を演じるのは、ダイアン・クルーガーやジャスティン・バーサ。名だたるお歴々に比べると、これはいかにも小粒だ。
こうした主人公周辺の劣勢をカバーするために、脚本はいろいろと工夫して主人公たちに華を持たせようと努力している。しかしこれがうまく行っていない。まばゆいスターのオーラを放つ豪華絢爛な出演者たちの中で、本当ならもっとも輝いていなければならない主人公たちが一番地味というのが、この映画の致命傷なのだ。これはキャスティングの問題だろうし、このキャスティングを変更できないという続編映画の宿命に根ざす問題だ。これを解消するにはダイアン・クルーガーとジャスティン・バーサにもスターになってもらうしかないのだが、それがなかなか上手くいかないのだなぁ……。
クライマックスはディズニー・ランドのアトラクションみたいでなかなか楽しい。映画はアメリカでもヒットしているし、これは実際にアトラクションがお目見えするかもしれないぞ。
(原題:National Treasure: Book of Secrets)
DVD:ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記
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