ザスーラ

2005/11/02 SPE試写室
古びたゲーム盤の世界が恐るべき現実になる!
原作は『ジュマンジ』の続編。by K. Hattori

 「人生ゲーム」や「モノポリー」のようなスゴロク型ゲーム盤が、プレイヤーにとんでもない事態を引き起こす映画『ジュマンジ』の姉妹編。原作は『ジュマンジ』や『ポーラー・エクスプレス』と同じクリス・ヴァン・オールズバーグで、原作自体は「ジュマンジ」と「ザスーラ」が正続編の関係にあるらしい。ただしこの映画は特に『ジュマンジ』とのつながりをうたっていないので、いきなりこの映画から観始めても問題なしだ。

 いつも兄弟ゲンカばかりしているダニーとウォルター。父親の留守中に兄の意地悪で地下室に閉じ込められたダニーは、そこで「ザスーラ」という古ぼけたゲーム盤を見つける。説明書きをよく読むこともなく、箱から出したゲームで遊び始めるダニー。ゼンマイを巻いてスイッチを押すと、そこには「隕石群が襲来!」と書かれていた。その途端、兄弟のいた家の居間には無数の隕石が飛び込んでくる。窓の外の風景も一変。ふたりは家ごと、遠い宇宙の果てに送られてしまったのだ。地球に戻るには、ゲームを続けてゴールにたどり着くしかない。だがその行く手には、次々に難関が待ち構えているのだった!

 仲の悪い兄弟がゲームを通じて仲直り……というお決まりの話ではあるのだが、仲直りするまでに結構な紆余曲折があってハラハラドキドキさせられてしまう。しかもこの兄弟の上には、これまた反抗期バリバリのお姉さんもいたりして、血のつながった姉兄弟なのに、顔を合せればいがみ合いばかり。構ってほしい弟と彼を疎ましく思う兄の関係が、兄弟とそれを疎ましく感じている姉の関係として繰り返されているところがポイント。たぶんどこの家でも、兄弟姉妹なんてものはこんなものではないだろうか。ゲームを通じて危険な状態になればなるほど、兄弟の結束が固くなるどころか、かえって互いに責任をなすり付けたり嫌味を言ったりして関係が悪化していく様子は、荒唐無稽な物語の中にあってきわめてリアルなものに感じられる。それだけに、和解に向かっていくプロセスが気持ちよく素直に観られるのだ。

 しかしこの映画の見どころは、ありふれた「兄弟ゲンカと仲直り」などではない。それはこの見世物映画を観客に提示する際の方便に過ぎず、本当の見せ場は最新のデジタル技術を生かした華麗な映像ショーにある。居間の床や天井や壁など、ありとあらゆる場所に次々穴をあけていく隕石群の凄まじさ。狂ったロボットが少年たちに襲いかかり、部屋の中を目茶苦茶に壊していく迫力。最後は肉食の凶暴なエイリアンたちが、主人公たちの家を粉々に粉砕してしまう。秩序ある世界が、あっという間に無秩序に変わるのだ。子供の頃に積み木で作った家をぶっ壊したり、模型飛行機を爆竹で爆発させたような、破壊衝動の喜びが、この映画の中には満ちている。家が壊れていく場面は、まさに快感! これはストレス解消にもってこいの映画だと思う。

(原題:Zathura)

12月10日公開予定 サロンパス ルーブル丸の内ほか全国松竹東急系
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2005年|1時間43分|アメリカ|カラー|ビスタサイズ|SDDS、SR-D、SR
関連ホームページ:http://www.sonypictures.jp/movies/zathura/
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