オーシャンズ12

2004/12/17 ワーナー試写室
前作『オーシャンズ11』から3年ぶりに作られた続編映画。
観る前に前作を復習しておいた方がいい。by K. Hattori

 ジョージ・クルーニーやブラッド・ピットら豪華キャストで製作された『オーシャンズ11』の続編。今回はメンバーが1名増えて『オーシャンズ12』になっているが、さてその12人目とは一体誰でしょう……。今回の映画は前回のスタッフ・キャストがそのまま引き継がれた正統派の続編で、キャサリン・ゼタ=ジョーンズやヴァンサン・カッセルが新たな出演者として加わっている。監督は前作と同じスティーブン・ソダーバーグ。前回同様テンポのいい台詞とエピソードの組み立てで、トリックの詳細や整合性などそっちのけにして物語がスイスイ進んでいくのは、犯罪映画としては少々食い足りない。しかしこれは盗みのテクニックやチームワークの面白さを見せる映画ではなく、俳優たちの豪華な顔ぶれや、悪ふざけギリギリのコミカルな芝居を見せる映画なのだろう。

 仲間たちと一緒にカジノ王ベネディクトの金庫から大金を盗み出し、妻のテスも奪い返したダニー・オーシャンだったが、盗まれた金を保険で補填されてもベネディクトは屈辱を忘れていなかった。彼はさる情報筋からオーシャンたちの居場所を突き止め、全員に利息付きの返金を要求する。返済期限は2週間後。返済できない場合は殺すという最終警告だ。命あっての物種とあって、オーシャンたちは新たな仕事をして金をかき集めようとする。今度のターゲットはヨーロッパ。しかしそこにはヨーロッパ最高の泥棒と言われる“ナイト・フォックス”と、ユーロポールのエリート捜査官イザベルが待ちかまえていた!

 前作『オーシャンズ11』は犯罪映画としても基本的なセオリーを守って金庫破りの「手口」を語る部分も多かったのだが、今回の映画は「キャラクター」重視で盗みそのものは二の次になっているように思う。前作の「雰囲気」が好きだった人には今回の映画もたまらなく面白いと思うが、前作の「ストーリー」に感心した人にとっては、今回の映画は少し物足りないかもしれない。個々のキャラクターの性格付けなどは前作を踏まえたものになっているので、前作を観た人でなければこの映画を楽しむことはできないだろうし、前作を観ている人も直前にビデオやDVDで復習しておいた方がいいかもしれない。僕は前作からまるまる3年空いてしまったので、人物の性格付けなどを思い出しながらの鑑賞になってしまった。

 それでも映画終盤のドタバタなどは、観ていて思わずクスクス笑いが止まらなくなってしまう傑作な仕上がり。『オーシャンズ12』の12人目をいきなり押しつけられたある人物が、よく事情を飲み込めないままあたふたと急場をしのぐ様子がおかしくってしょうがない。しかもそこに、誰もがよく知るゲストスターまでがからんでくる豪華なお遊びだ。

 映画を観て人生観が変わるとか、そういうった類の映画ではない。観終わっても「楽しかった!」としか言いようのない娯楽大作だ。

(原題:Ocean's Twelve)

1月22日公開予定 丸の内ルーブル、丸の内プラゼールほか全国松竹東急系
配給:ワーナー・ブラザース映画
2004年|2時間5分|アメリカ|カラー|シネマスコープ・サイズ|SRD、SDDS、DTS
関連ホームページ:http://oceans12.warnerbros.jp/
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