最‘狂’絶叫計画

2004/07/29 映画美学校第1試写室
ホラー・パロディ第3弾は『リング』+『サイン』。
監督はデヴィッド・ザッカーに交代。by K. Hattori

 『最終絶叫計画』『最‘新’絶叫計画』に続く、『Scary Movie』シリーズの第3弾。僕は第2作を観ていないのだが、内容的には特に連続性もないようで十分楽しむことができた。監督は過去2作のキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズから、『裸の銃〈ガン〉を持つ男』シリーズのデヴィッド・ザッカーにバトンタッチ。主人公シンディ・キャンベル役でアンナ・ファリスが継投している他、『裸の銃』シリーズのレスリー・ニールセンや、『ホット・ショット』シリーズのチャーリー・シーンなど、ZAZがらみの有名俳優が出演しているのも見もの。なお今回の映画の下敷きになっているのは、ハリウッド版『リング』と『サイン』。その他『8 Mile』や『ロード・オブ・ザ・リング』『マトリックス』など、小さなくすぐり多数。

 ワシントン郊外のトウモロコシ畑に巨大なミステリーサークルが出現。この事件を取材したTVレポーターのシンディは、見ると7日目に死ぬという呪いのビデオの存在を知り独自に取材を開始した。ビデオを見て死んだ親友ブレンダの部屋でビデオを見つけたシンディは、自分でもそのビデオを見てしまったばかりか、甥のコーディまでがそのビデオを見て呪いをかけられてしまう。ビデオの秘密を解こうと必死の調査を始めるシンディだったが、同じ頃、ミステリーサークルが出現した畑の近くにある家には、不気味なエイリアンの姿が……。

 パロディ映画なので、元ネタになった映画を知らないと面白くない。僕は『8 Mile』を観なかったのだが、こうした映画に取り上げられるところからも「アメリカでは大ヒット作だったんだなぁ」と痛感させられた。こんなことなら無理してでも観ておけばよかった。でも別に観ていなくても、様子は何となくわかるんだけど。

 元ネタが真面目であればあるほど、パロディにしたときは笑いの度が大きくなる。「呪いのビデオ」とか「ミステリーサークルと宇宙人」とか、日常感覚で考えれば大笑いするしかないものを使って大真面目に観客を恐がらせた『リング』と『サイン』は、そういう意味ではパロディの対象として第一級品なのだ。映画の中でもっとも恐かった場面が、ものの見事に大爆笑シーンに生まれ変わっているのは痛快。(もちろんこの映画はそれ以外の部分も面白くて、僕が一番面白かったのはプロンプターに流れた意味不明の文字列を、アナウンサーが正確に読み上げるシーン。これはすごい!)

 ストーリーその他は『リング』と『サイン』をそのまま踏襲しているので、もしこれらの元ネタをまだ観ていない人には注意が必要。この映画の後に元ネタ作品を観ると、ついついパロディの方を思い出して、真面目な場面や恐い場面で吹き出してしまうかもしれない。それにしてもパロディ映画にまで進出する、『リング』の増殖スピードのものすごいこと! こんな場合、原作料は入るのかな。

(原題:Scary Movie 3)

10月9日公開予定 シネマメディアージュ、新宿ピカデリー4
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
配給協力・宣伝:LIBERO 宣伝協力:三栄社、デジタルシステム
2003年|1時間25分|アメリカ|カラー|ドルビーデジタル、SDDS、DTS
関連ホームページ:http://zekkyo.jp/
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