短編特集

(第12回フランス映画祭横浜2004)

2004/06/16 パシフィコ横浜
フランス映画祭横浜名物の短編映画特集。今回は7本。
特別これといった作品とは巡り会えず。by K. Hattori

 毎年横浜みなとみらいのパシフィコ横浜で開催される「フランス映画祭横浜」では、毎回短編映画特集が組まれている。フランスは短編映画の製作に熱心な国だそうで、いつもレベルの高い短編が披露されるのは楽しみ。今回も7本の短編が上映されたので、以下各作品の簡単な内容と感想を箇条書き風に記しておく。

 『もうひとつの戦い』は事故で半身不随になった元ボクサーを父親に持つ少年が、自分のボクシングの試合の前日に父親といさかいを起こして家を飛び出し町をさまよう話。家の中で母と口げんかばかりしている父親を憎みつつ、そんな父のボクサー時代の写真をロッカーの扉に貼っている少年がいじましい。

 超大作を撮影中に失踪した大監督の息子が、残された映画を完成させるため関係者を訪ねて歩き、父親失踪の真相を探り出そうとするのが『フルシニコフ・メソッド』。ユーモラスなクレイアニメだが、内容やテーマについては釈然としない。要するに「負けるのが嫌で逃げちゃった」ってことじゃないの?

 『私の一番の心配事』は、何かの事情(病気?)で頭髪を失ってしまった女性のために、夫や家族が究極のカツラを作ろうと奮闘する物語。何度カツラを作っても、強い風が吹くとそれがピューと空高く飛んでいってしまう。最後は他の家族全員も頭を剃ってしまうというオチになるが、これは日本映画『友情 Friendship』と同じ。案外同じ実話からの発想かも。台詞がほとんどないのだが、家族の暖かさが伝わってくる映画。子供たちの表情もいいけど、お父さんもいいなぁ。

 15歳の姉と12歳の弟が、親に内緒で夜遊びという冒険をするのが『ボディーガード』。これは長い長編映画の中のひとつのエピソードという感じがする作品。物足りないという意味ではなくて、キャラクターが魅力的でドラマの世界に奥行きが感じられるのだ。17分の作品だが、このキャラクターと設定を使って、1時間半の長編映画も作れそうだ。

 戦争で息子を徴兵されている女性ふたりが、戦死公報を運ぶ郵便配達人の姿に恐怖する『テレグラム(電報)』は、たったひとつのアイデアだけで濃密な心理ドラマを作り上げている。

 『顔のない男』はCGやデジタル合成技術をフルに使った奇妙なラブストーリー。主人公は顔のない男ではなく、本当は首(頭部)のない男だけど……。憧れの女性と初デートをするため、頭を買いに行こうとする男の話。台詞はほとんどない。ゼロから作り上げられた、ちょっとレトロな風景が面白いが、雰囲気が暗いんだよなぁ……。

 SF風の『天使の刻印』は、宇宙船で旅をしている美女エイリアンが、人間の赤ん坊の出産になぜか紛れ込んでいるという話なのだが、これがどんな意味なのか僕にはよくわからなかった。赤ん坊のほほに落ちた1滴の血が、シミかホクロのようになっているのだが、その中にエイリアンがいるってこと?

6月16日上映 パシフィコ横浜
第12回フランス映画祭横浜2004
配給:未定
2003-2004年|計1時間50分|フランス|カラー
関連ホームページ:http://www.unifrance.jp/yokohama/
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