ドリームワークス製作の大ヒットアニメ『シュレック』の続編。アツアツの新婚生活を送るシュレックとフィオナ姫のもとに、フィオナ姫の実家“遠い遠い国”から娘の結婚を祝う舞踏会への招待状が届く。ところがこの招待にはとんだ手違いがあった。フィオナの両親は、娘の結婚相手が緑色の怪物シュレックだとは知らなかったのだ。彼女の結婚相手は、ずっと昔からハンサムで家柄もいいチャーミング王子と決まっている。やっとこさの思いで“遠い遠い国”にたどり着いたシュレックとフィオナが見たものは、露骨に失望と嫌悪の表情を浮かべる国王の姿だった。「娘の選んだ人なんだし、まぁいいじゃないの」と言う王女だったが、国王はどうしても娘の相手がチャーミング王子でないのが気にくわない。いや、相手がチャーミング王子でなくては困る。困るだけの理由の理由が、じつは国王にはあったのだ……。
前作同様、童話や昔話に辛辣なパロディをぶちかます『シュレック2』だが、今回のテーマは「結婚」だ。愛する者同士が結ばれれば、それが結婚がうまくいくわけではない。共に暮らすふたりの生活を、社会的に認知するのが結婚という制度の役目なのだ。よく「日本は家同士の結婚。欧米の結婚は個人を尊重する」などと訳知り顔で言う人がいるけれど、世界のどこに行こうと完全に個人の意思だけで成立する結婚など存在しない。結婚とは紛れもなく「社会的な制度」のひとつだからだ。社会がその関係を承認してこそ、結婚は社会的なものとして成立する。そして個人にとってもっとも近い社会とは家族に他ならない。家族が認めない結婚や親族が祝福してくれない結婚というのは、それが幸福か不幸かは別として、かなりいびつなものにならざるを得ないだろう。
で、シュレックの場合だ。シュレックはフィオナ姫の両親、特に父親が自分を嫌っていることにショックを受けるが、次の瞬間には何とかして自分を認めてほしいと考えるようになる。これはシュレック自身が自分の結婚に対して「社会的な承認」がほしいという分けではない。シュレックはそもそも、自分の結婚が人々から祝福されることなど期待していないのだ。でもフィオナは? 相手が誰であろうと、フィオナの幸せは祝福されてしかるべきなんじゃないのか? 彼女を愛するシュレックはそう考える。
この日の試写は舞台挨拶付きの完成披露試写だったのだが、舞台に上がったプロデューサーのジェフリー・カッツェンバーグは、このシリーズが全部で4部作になるとの構想をぶち上げた。第1部が恋のなれそめから主人公たちが結ばれるまで、第2部が結婚にまつわる家族内部のゴタゴタだったから、第3部はおそらく妊娠と出産、第4部は子育てあたりがテーマになるのではなかろうか。その兆候は、既に今回の映画の最後にほのめかされているように思う。(それにしてもドンキーはご立派なもんですな!)
(原題:Shrek 2)
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