こちら葛飾区亀有公園前派出所
THE MOVIE 2
UFO襲来!トルネード大作戦!!

2004/01/06 有楽町スバル座
UFO騒ぎに便乗して一儲けを企む両津が幼なじみを訪ねるが……。
エピソードにもっとマニアックなこだわりがほしい。by K. Hattori


 テレビアニメも好評な「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の劇場版アニメ第2弾。UFO騒ぎに便乗して一儲けを企んだ両津勘吉は、そのことが部長にばれてハワイへの慰安旅行から仲間はずれ。しかしそれに懲りない両津はこっそりとハワイに渡り、幼なじみの優等生・竜平にニセモノUFOを作ってもらおうと考えた。だがそこで知らされたのは、竜平がもうとうの昔に事故死したという悲しい知らせ。だがその一人娘ミーナを見守るひとつの人影。それこそ死んだはずの竜平だった。両津との再会の喜びもつかの間、竜平は謎の武装グループに誘拐されてしまう。じつはこの武装グループの秘密兵器こそ、東京のUFO騒ぎの原因だったのだ。リーダーのタイガーに率いられた武装グループは、円盤形の巨大兵器を使って東京を破壊し始めた!

 前作『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE』は僕にとってもお気に入り映画のひとつなのだが、今回の映画はそれに遠くおよばないできだと思う。前作は原作の持つ「下町趣味」を全面に押し出した作品だったので、今回は荒唐無稽なハチャメチャ路線を目指したというのも理解できる。だがディープな日常から突拍子もない出来事へと一足飛びにジャンプするスケールの大きさが、今回の映画では表現できていないような気がするのだ。

 原作にはコンバットゲームや兵器、フィギュアやゲーム、パソコンなどに対するフェティッシュでマニアックな知識を生かしたエピソードも多い。しかしそれは単なるネタやウンチクではなく、地に足をおろした日常べたべたの世界を表現する小道具として機能しているはずだ。この日常べたべたの世界から、どれだけ物語を膨らまして脱日常化していくのかが「こち亀」の真骨頂ではなかろうか。だが今回の映画版では、登場するゼロ戦にしろアグネス・ラムにしろ、あまりにも扱いが中途半端だと思う。ここにもう少しマニアックな知識を盛り込み、それを膨らませていくと「こち亀」流のギャグやエピソードも作れたと思うのだけれど……。

 しょせんはマンガなのだから、荒唐無稽な設定も強引な展開も許していい。両津の幼なじみが天才科学者になるとか、かつてのガキ大将が世界的なテロリストになるのも構わない。両津が荷物にまぎれてハワイに密航するのもギリギリセーフだろう。東京タワーのてっぺんからUFOに飛び移るのもありだ。でも曲がりなりにもプロのパイロットがゼロ戦でハワイから日本に渡ろうとしたり、レインボーブリッジから転落するゆりかもめに乗っていた人間がまったく無傷で救出されたりするのは疑問。両津勘吉は超人的な体力の持ち主だから、何をやっても死なないのはわかる。でも他の人間は、やっぱり高いところから落ちればケガぐらいするんじゃないだろうか。荒唐無稽なおとぎ話の世界でも、やっていいことと悪いことはあるはずなのだ。この映画はそこを踏み外している。

12月20日公開予定 有楽町スバル座他・全国東宝洋画系
配給:東宝
(2003年|1時間49分|日本)
関連ホームページ:
http://www.kochikame-movie.com/

DVD:こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE 2
原作:こちら葛飾区亀有公園前派出所
関連DVD:こちら葛飾区亀有公園前派出所

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