FREESTYLE SHORT MOVIES

2003/09/24 映画美学校第2試写室
若手監督と俳優たちによる短編映画の特集上映。
バラエティに富んだ作品が楽しめる。by K. Hattori

 若い俳優と若い監督たちが作った短編映画集。上映時間が数分から40数分まで、テーマも作風もバラバラの寄せ集め短編集だ。メラを回すのがただ楽しいといった感じの習作スケッチから、それなりに観客の存在を意識した作品までいろいろ。完成度も玉石混交で、小規模ながらピリリとした緊張感が漂う映画から、「困ったなぁ」と思うものまで揃っている。粒揃いの短編集も面白いが、こうして出来不出来が極端な短編集も、作品を品定めするような楽しみがある。

 今回僕が観たのは猪俣ユキ監督の『ナオと僕』『MILD7』、松丘小椰監督の『LOVERS』、堀江慶監督の『ストロベリーフィールド』、木下ほうか監督の『ラベル』、そして飯塚健監督の『金髪スリーデイズ35℃』の6本。(この特集上映では他に山崎紫音監督の『異形の肖像』、合田典彦監督の『リリー・オブ・ザ・バレー』も上映されるのだが、今回は試写日程の都合でそれらを観ることができなかった。)以下、簡単に各作品の紹介と感想。

 『ナオと僕』はハンサムな青年ナオと、いつも彼の後をついて歩く親友ノブーキーが、風船に付いていた「私と文通してください」という手紙を拾ったことから始まる物語。絵や音の編集が荒っぽくて、これは習作の域を出ていないと思う。同じ猪俣監督の作品なら、続く『MILD7』の方が面白い。

 同棲中のカップルが無邪気にいちゃつく朝の風景が、ある出来事で一変してしまうというのが『LOVERS』。これは音楽と映像の編集だけで台詞なし。事件の発生に至るアイデアは面白いのだが、オチにもうひとひねりあるとなお良かった。

 常連客ばかりの喫茶店を舞台にした『ストロベリーフィールド』は、途中で眠くなってしまったのでコメントなし。

 木下ほうか監督の『ラベル』は、今回の短編集の中では一番豪華。脚本が『岸和田少年愚連隊』の中場利一。主演はザ・映画俳優という風格を感じさせる山崎努。共演にその実娘である山崎直子。他にも松田美由紀など、見知った顔がカメオ出演。小さな町工場で旋盤を回している父親が、娘の結婚式に出席するのだが……という他愛のない話だが、物語のまとまりも良く、この映画に描かれていない大きな世界さえ想像させられる。

 『金髪スリーデイズ35℃』はたまたま知り合った女子高生から中年男までの5人が、その場のノリで頭を金髪に染めて3日間を過ごすという話。初々しい田舎の女子高生を演じた真帆と、中年の駅員を演じた山田辰夫の組み合わせが面白い。

 おそらく普段から面識があり仲の良いメンバー同士でワイワイ作ったのだろうが、こういう映画は観ていても作り手の楽しさが伝わってくるようで面白い。劇場公開したところで大ヒットするような企画とも思えないのだけれど、こうした企画は1度だけの打ち上げ花火に終わらせず、定期的に続けてほしいと思う。

10月下旬公開予定 テアトル新宿(レイト)
配給:スローラーナー
(2003年|合計約1時間35分|日本)
ホームページ:
http://www.slowlearner.co.jp/

関連DVD:猪俣ユキ
関連DVD:松丘小椰
関連DVD:堀江慶
関連DVD:木下ほうか
関連DVD:飯塚健

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