トゥームレイダー2

2003/08/19 ガスホール
アンジェリーナ・ジョリー主演のアクション・アドベンチャー第2弾。
ギリシア神話に登場する「パンドラの箱」を探す冒険。by K. Hattori

 アンジェリーナ・ジョリー主演のアクション・アドベンチャー映画第2弾。前作は荒唐無稽な設定やアクションも含めてかなり面白く思ったのだが、今回は期待していた水準を大きく下回っているように思った。監督のヤン・デ・ボンは今回の映画は正念場だったと思うのだが、これは監督にとってもかなり不本意な映画だったと思う。脚本がこれでは、監督がどう工夫してもそれほど面白くなりようがないでしょう。

 ギリシャで起きた地震によって、アレキサンダー大王時代の海底遺跡が姿を現した。ララ・クロフトはそこで秘宝のありかを示した黄金の珠を発見するが、ララを追ってきたチェン・ローの一味に珠を奪われてしまう。隠された秘宝とは、ギリシア神話に登場するパンドラの箱。武器商人のジョナサンは究極の大量破壊兵器であるパンドラの箱入手のために、チェン・ローたちを雇ったのだ。ララは奪われた珠を取り戻すため、カザフスタンの刑務所に収監中の元恋人テリーをガイドとして雇う。チェン・ローの行方を追い、ふたりはまず中国へ向かうのだが……。

 物語の舞台はギリシアからイギリス、カザフスタン、中国山岳地帯、上海、香港、台湾、そしてアフリカへとスピーディーに移動を繰り返すのだが、これだけやっても物語に弾みがつかない。そもそも「パンドラの箱」の設定が、これだけの物語を展開するには弱いのではないだろうか。『レイダース/失われたアーク〈聖櫃〉』に登場する「契約の箱」の二番煎じで、悪役をナチスから現代の武器商人に替えただけに思える。せっかくアレクサンダー大王を持ち出すなら、他にもいろいろなアイデアが考えられるだろうに。また今回の映画では、ヒロインのアクションがだいぶ物足りない。乗馬やバンジージャンプやビルからのスカイダイビングなど、目玉になるシーンがあるにはあるのだが、それが物語とうまくマッチングしていないように思った。上海の路地で繰り広げられるアクションシーンも、いかにもスタジオに組んだセットということがみえみえ。

 話が多少つまらなくても、アクションシーンがしょぼくても、キャラクターの魅力があれば映画は何とか格好が付くものだ。しかしこの映画では、ヒロインのララ以外の人物がどいつもこいつも魅力に乏しい。ララとコンビを組む元恋人がまずまるでだめ。悪役のジョナサンも迫力不足だ。秘宝探しのミステリーとしては謎解きの魅力も少なく、小出しにした小道具などもまるで生かされていない。このあたりは脚本の責任だと思う。

 一番ガッカリさせられたのは、結局のところ「パンドラの箱」が何だったのか最後まで謎のままにされたこと。これは箱を開けた『レイダース/失われたアーク〈聖櫃〉』の方が、観客の気持ちを理解していると思う。ここももう少し知恵を絞って、『レイダース』の真似にならない範囲で(もう十分真似だけど)別のエピソードを作ってほしかった。

(原題:Lara Croft Tomb Raider: The Cradle of Life)

9月20日公開予定 日劇1他・全国東宝洋画系
配給:東宝東和
(2003年|1時間57分|アメリカ)
ホームページ:
http://tombraider.eigafan.com/

DVD:トゥームレイダー2
サントラCD:トゥームレイダー2
サントラCD:Tomb Raider: The Cradle of Life
前作DVD:トゥームレイダー
ノベライズ:トゥームレイダー2
ノベライズ洋書:Tomb Raider: The Cradle of Life
関連DVD:ヤン・デ・ボン監督
関連DVD:アンジェリーナ・ジョリー
関連DVD:ジェラルド・バトラー
原作ゲーム:トゥームレイダー (2)

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