ジェームズ・キャメロンの
タイタニックの秘密

2003/07/03 メルシャン品川アイマックスシアター
ジェームズ・キャメロン監督が海底のタイタニックを再訪するドキュメンタリー。
3Dの実写映像にCGや他のライブアクションを合成している。by K. Hattori

 アカデミー賞で11部門を受賞した大ヒット作『タイタニック』以降、監督のジェームズ・キャメロンは映画を監督してこなかった。最近のキャメロンは3D映画にすっかり夢中になっており、新しいデジタルカメラの開発にも熱中している。その彼が今現在の技術水準を観客に提示するモデルケースとして製作したのが、この『ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密』というアイマックス3D映画だ。ただしこれは劇映画ではない。潜水艇と3Dカメラを使って、沈没しているタイタニックの現在の姿を記録するドキュメンタリー映画になっている。

 キャメロン監督は映画『タイタニック』の準備段階から海底のタイタニック号を潜水艇で調べているし、『タイタニック』の中でもビル・パクストン演じる男が海底のタイタニックを調べるシーンが出てくる。今回の映画『タイタニックの秘密』は、そうしたシーンのドキュメンタリー版というわけだ。ご丁寧なことに、『タイタニック』に出演したビル・パクストンが、今回の映画のレポーター役で出演している。これで『タイタニック』と『タイタニックの秘密』は、さらに密接にリンクしてくる。『タイタニックの秘密』は『タイタニック』の続編のような映画なのだ。一時噂になった『タイタニック2』みたいなものだ。

 原題は『GHOSTS OF THE ABYSS』で、これだけだとキャメロン監督の映画『アビス』の続編みたいに見えるのも面白い。キャメロンは本当に水中撮影が好きなのだろう。今回の映画では、わざわざ新しい水中用3Dカメラを開発している。バッテリー切れで立ち往生したカメラをもう1台のカメラを使って救出するシーンが、この映画最大のクライマックスだと思う。

 沈没したタイタニックの映像はこれまでにも幾つかのドキュメンタリーで取り上げられているし、92年にはアイマックスの大型スクリーン向けに『タイタニック/深海に沈む真実』という映画も作られている(日本ではビデオ発売)。したがって今回のキャメロンの映画の新しさは、「海底のタイタニックを3Dで観る!」という点にあるのだし、遠隔操作の超小型カメラを使って、船内の小部屋までくまなく探査していく映像の臨場感にある。

 映画としては物足りない作品だと思うが、水深3,500メートルという苛酷な環境で自由自在にカメラを操り、照明をセッティングしていく「実験」としての価値は大きいと思う。この映画によってカメラはきわめて小型化されたし、厳しい使用状況でも故障しないタフネスぶりも立証できた。映画を観ていれば気づくことだが、3Dの効果を実験するために作られた構図なども多い。おそらくキャメロンは同じ技術を使って、次は劇映画を作るだろう。この映画は『タイタニック』の続編であると同時に、次回作へ向けてのキャメロンの習作であり、プロローグでもあるのだ。

(原題:GHOSTS OF THE ABYSS)

7月19日公開予定 メルシャン品川アイマックスシアター他・全国順次
7月4日〜8日 先行プレミア上映 メルシャン品川アイマックスシアター
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
(2003年|47分|日本)
ホームページ:
http://www.3d-titanic.jp/

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サントラCD:GHOST OF THE ABYSS
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