アニマトリックス
ファイナル・フライト・オブ・オシリス

2003/04/01 ワーナー試写室
大ヒットSF映画『マトリックス』の世界をアニメ化した短編集の1篇。
オシリス号とセンティネル軍団の壮絶な戦い。by K. Hattori

 世界中で大ヒットしたSFアクション映画『マトリックス』の世界観を借りて展開する、9本の短編アニメーション映画『アニマトリックス』の中の1本。9本の短編アニメはそれぞれスタッフも絵柄も異なる独立したストーリーになるようだが(何本かでスタッフは重なり合っている)、この「ファイナル・フライト・オブ・オシリス」は『マトリックス』と続編『マトリックス/リローデッド』を結ぶ重要なエピソードなのだという。このエピソードはワーナー配給の『ドリームキャッチャー』の併映作品として全国の劇場で上映されるが、それとは別に全9話をまとめて5月下旬にヴァージンシネマズ六本木ヒルズで限定公開することも決定済みだという。

 本作「ファイナル・フライト・オブ・オシリス」の脚本は、『マトリックス』の生みの親であるウォシャウスキー兄弟が担当している。監督は『GODZILLA/ゴジラ』や『タイタニック』などの大作でCGを担当し、CGアニメの大作『ファイナルファンタジー』ではアニメーション・ディレクターとして働いたアンディー・ジョーンズ。制作は『ファイナルファンタジー』のスクエアだ。このエピソードについては、映画『ファイナルファンタジー』の技術と絵のタッチで、『マトリックス』のアナザー・ワールドを描いたものだと考えると手っ取り早い。『ファイナルファンタジー』もCG技術には驚かされたが、今回の「ファイナル・フライト・オブ・オシリス」はそれ以上に思えた。

 物語は『マトリックス』でも有名な、仮想空間での武術訓練から始まる。広い道場で模擬戦闘を繰り広げるのは、黒人の好漢サディアスと東洋系の美女ジュエ。やっていることは『マトリックス』でキアヌ・リーブスとローレンス・フィッシュバーンが行った武術訓練と変わらないのだが、今回のエピソードで描かれるそれは「訓練」というより「レクリエーション」に近い感じだ。互いに目隠しをした男女が剣で互いの衣服を切り裂き合い、徐々に衣服が脱げて行く、言うなれば「カンフーストリップ」のようなもの。これは観ていてなかなか楽しい。皮膚の質感などはかなりリアルで、女性の下着姿にはちょっとドキドキしてしまいました。

 だがこのじゃれ合いのような試合は、突然の警報で中断する。ふたりの乗るホバークラフト“オシリス号”が、センティネル(人間を捕獲するロボット)に発見されたのだ。センティネルから逃れて地上に出たオシリス号は、そこである事態に遭遇。ザイオン(地球に残った唯一の人間たちの都市)に連絡するため、ジュエはマトリックスに送り込まれるのだが……。

 コンピュータと戦う人間のゲリラ隊は、モーフィアスやネオのいるネブガドネザル号だけではない。ネオたちは孤独な戦いをしているわけではない。我々が『マトリックス』で見知ったのは、大きな戦いの中の一局面だったわけだ。

(原題:ANIMATRIX: Final Flight of the Osiris)

2003年5月24日公開予定 ヴァージンシネマズ六本木ヒルズ
配給:ワーナー・ブラザース映画
(2003年|11分|アメリカ)
ホームページ:
http://www.intothematrix.com/

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