とっとこハム太郎
ハムハムハムージャ!幻のプリンセス

2002/12/31 日劇2
劇場版『ハム太郎』の第2弾。監督は止め絵が名物の出崎統。
内容盛りだくさんで子供は大喜びしている様子。by K. Hattori

 東宝の正月番組が『ゴジラ』と『ハム太郎』の2本立てになって今年で2年目。昨年の劇場版第1弾『ハムハムランド大冒険』に続いて、今年は『ハムハムハムージャ!幻のプリンセス』の登場だ。(どうでもいいけど、タイトルが長いよなぁ。)監督は前作に引き続き、『あしたのジョー』『エースをねらえ!』の名匠・出崎統。昨年初めて出崎版『ハム太郎』を見た時はいささか面食らうと同時に「なぜこの人選?」とも思ったが、考えてみたら出崎さんにはその昔、「ガンバの大冒険」というドブネズミを主人公にした愛と涙の冒険活劇アニメを作った経歴があったのだ。ペットのハムスターとドブネズミとじゃ、ずいぶんと様子が違うような気がしないでもないけれど、劇場版ハム太郎は大きく世界を広げた「愛と涙の冒険活劇」だから、まぁいいか……。

 それにしても、出崎監督というのはすごい人だ。『家なき子』『宝島』『ベルサイユのばら』『スペースコブラ』『ゴルゴ13』『手塚治虫の旧約聖書物語』『ブラック・ジャック』など、ジャンルなど無関係になんでも自分の仕事にしてしまう作家としての食欲と消化能力の高さ! それらの作品の中で、必ずと言っていいほど現れる「止め絵」こそが、出崎作品を出崎作品たらしめている。これはサム・ペキンパーのスローモーションと同じ。いわば作家にとっての署名みたいなものなのです。しかし僕は『ブラック・ジャック』のようなシリアス作品でも、出崎作品の止め絵を見ると2回に1回は笑ってしまう。もうこれはセルフパロディの域でしょうに。もっともこれは歌舞伎役者の見得と同じで、ファンにとってはたまらない瞬間でもあるのでしょう。当然今回の『ハム太郎』でも止め絵の連発。こうして作家性を主張せずにはいられないところが、これまた出崎監督らしさと言えばらしさなのか……。確かに出崎作品からこの止め絵を抜いてしまったら、なんだか物足りないだろう。

 世界中のハムスターの故郷ハムージャ王国。そこは今、建国以来の危機に見舞われていた。魔法の壺から飛び出したサバクーニャという魔法猫が、王女シェーラ姫を見初めてプロポーズ。国王たちを城から追い出し、お姫様を高い塔に監禁しているのだ。姫の結婚相手がハムージャ王国の正統な後継者になるのが、この国の掟。サバクーニャが姫と結婚してしまえば、王国支配は下品な魔法猫の手に握られてしまう。たまたまこの場にやってきたハム太郎たちは、力を合わせてシェーラ姫を助け出そうとするのだが……。

 今回の映画はかつての東映アニメ『長靴をはいた猫』を連想させる内容。メインの物語の他に、ゲスト出演の「ミニハムズ」を登場させねばならないなど、作品のフォームとしての制約がいろいろあるようで窮屈な印象も残るのだが、まぁ子供たちにはこれでも楽しいのかも。『ハム太郎』はその内容からして、最初から小学校低学年までのものだしね……。

2002年12月14日公開 日劇2他・全国東宝系
配給:東宝
(2002年|55分|日本)
ホームページ:http://www.hamutaro-movie.com/

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