テキサス・レンジャーズ

2002/09/04 アミューズピクチャーズ試写室
南北戦争後の荒廃したテキサスで人々を守ったレンジャーの活躍。
実話に基づく本格派だがキャスティングが弱い。by K. Hattori

 テキサス・レンジャーズとは、テキサス州独自に組織された警察力を持つ民兵組織。創設されたのはまだテキサスがメキシコ領だった1835年。開拓地への入植者をインディアンの襲撃から守るのが当初の目的だったという。翌年有名なアラモ砦の攻防戦を経て、テキサスはメキシコから共和国として独立。45年にはアメリカに併合されてテキサス州となるが、南北戦争(1861-65)では南部連合に加わって惨敗。戦争で土地は荒れはて、人々の心はすさみ、治安は著しく悪化した。戦争中一時解散していたレンジャーは、治安維持回復のため復活。最新式のコルト連発銃で武装した騎馬兵団として、我が物顔で州内を荒らし回るアウトローの鎮圧に大きく貢献したという。

 映画の舞台は1870年代。メキシコとの国境に近いテキサス南部は、国境を越えて近隣を荒らし回るアウトローたちに悩まされていた。悪党連中の中でももっとも悪名が高いキング・フィッシャーは、人殺しや強姦を屁とも思わぬ冷酷無情な手下たちを数多く従え、国境沿いの町や牧場を荒らし回る。軍隊並みの武装をした彼らに、人々はまったく為すすべもない。フィッシャーに対抗する希望の星は、リアンダー・マクネリー率いるテキサス・レンジャーだけだった。フィッシャーに家族全員を殺された若者リンカーンは、レンジャーに志願して入隊を許される。だがその行く手には多くの困難が待っていた……。

 物語は大筋で実話に基づいているという。監督は『フォーエヴァー・ヤング/時を越えた告白』『U.M.A/レイク・プラシッド』のスティーヴ・マイナー。主演はテレビドラマ「ドーソンズ・クリーク」のジェームズ・ヴァン・ダー・ビーク。隊長役には『ザ・シークレット・サービス』でイーストウッドの相棒を演じていたディラン・マクダーモット。若い隊員たちのアイドルになる牧場主の娘役にレイチェル・リー・クック。

 かなり真面目に作った本格派の西部劇なのに、全体にB級ムードが漂っている。これはひとえに配役の安っぽさにある。俳優の格が低いということではなく、どの俳優もみんなミスマッチなのだ。マクダーモット演じる隊長は、不治の病気で余命数ヶ月の人物に見えるだろうか。いくら弱々しく咳き込んで見せても、健康そのものに見えてしまうのは困った。主演のヴァン・ダー・ビークにしても、坊ちゃん育ちの若者が戦いの中でたくましく成長していくようには見えない。レイチェル・リー・クックなどは、どこがテキサスの牧場育ちなんだか……。もうちょっとそれらしい顔ぶれを見つけてくるか、このキャストでこの話を作るなら脚本と演出にもう一工夫必要だと思うけどなぁ。

 B級の映画としてはそこそこ楽しめる内容になっているので、「実話をもとにした本格西部劇」という過大な期待さえしなえれば、それほどガッカリすることもないと思う。

(原題:TEXAS RANGERS)

2002年11月公開予定 日比谷スカラ座2他・全国東宝洋画系
配給:ギャガ・ヒューマックス共同配給
(2001年|1時間30分|アメリカ)

ホームページ:http://www.gaga.ne.jp/texas/

Amazon.co.jp アソシエイトDVD:テキサス・レンジャーズ
原作洋書:Taming of the Neuces Strip
DVD:スティーヴ・マイナー監督  (2)
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