ミーン・マシーン

2002/08/28 UIP試写室
ガイ・リッチーに見出された個性派俳優ヴィニー・ジョーンズの主演作。
刑務所内で看守と囚人がサッカー対決する。by K. Hattori

 『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』の殺し屋役で映画デビューし、その後も『スナッチ』や『60セカンズ』『ソードフィッシュ』などで強面なキャラクター全開の芝居を披露しているヴィニー・ジョーンズ。映画俳優は演技力よりむしろ個性や存在感が大切だが、彼はその得難い個性と存在感であっという間に売れっ子になってしまった。凶暴凶悪な役が多い彼だが、もともとはプロサッカーチームでプレイしていたというスポーツマン。そんな彼の経歴と「悪役俳優」という現在のポジションをうまく組み合わせたのが、本作『ミーン・マシーン』だ。監督はCM出身のバリー・スコルニック。製作総指揮にはジョーンズを映画界に導いた張本人である、『ロック、ストック〜』のガイ・リッチーが参加している。

 主人公“ミーン・マシーン”ことダニー・ミーハンはプロサッカーの花形選手だったが、八百長事件を起こしてサッカー界から追放される。すべてを失ったダニーの生活は荒れ果て、飲酒運転と警官への暴行事件で刑務所にぶち込まれてしまう。だが刑務所で彼を待っていたのは、囚人たちによる非難と嘲笑だった。だが刑務所長はそんな彼に、自分がスポンサーを務める看守たちによるサッカーチームのコーチをしろと命令。だが囚人のコーチなど願い下げの看守長は、あらかじめダニーにこの命令を絶対に断れと命じていた。二律背反の命令だが、刑務所長と看守長双方の顔も立てないと刑務所内では命に関わる。ダニーは囚人仲間マッシブの知恵を借りて、所長にこんな提案をする。「看守チームを実戦慣れさせるため、囚人チームを作って看守チームと戦わせればいい。囚人チームは自分がコーチする」。これで所長と看守長双方の顔は立った。だがいざチームを作ろうとすると、囚人の中からは思わぬ反発の声も出て……。

 映画前半は典型的な刑務所もの。受刑者同士の確執とか、看守からの暴行とか、刑務所内での派閥争いとか、個性たっぷりの囚人たちなどが入れ替わり立ち替わりさまざまなエピソードを提供する。映画後半は囚人チームと看守チームの壮絶な試合。ここでは普段から憎み合っている男たちが、互いの誇りと相手への憎しみをぶつけ合うのだから、必然的に最初からラフプレーの連続になる。小突く、蹴飛ばす、突き飛ばす、押し倒す、足を引っかけるなど、通常の“激しいプレー”の範囲から逸脱し、殴る、張り飛ばす、投げ飛ばす、倒れた選手を蹴り飛ばす、踏みつぶすなど、審判にさえ見つからなければありとあらゆる暴力が許される格闘技。『少林サッカー』も真っ青の肉弾戦なのだ。

 ガイ・リッチー監督の映画と持ち味はまったく異なるが、主演のヴィニー・ジョーンズ以外にもキーパー役のジェイソン・ステーサムなどガイ・リッチー作品でお馴染みの顔がチラホラ。一種のスピンオフ企画として楽しめる作品だ。

(原題:MEAN MACHINE)

2002年10月公開予定 銀座シネパトス
配給:UIP
(2001年|1時間39|イギリス、アメリカ)

ホームページ:http://www.uipjapan.com/meanmachine/

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