ザ・ロイヤル・テネンバウムズ

2002/08/13 ブエナビスタ試写室
一家全員が元天才のテネンバウム家に別居していた父が戻る。
配役がとにかく豪華なコメディ映画。by K. Hattori

 タイトルの「ロイヤル・テネンバウム」とは、この映画の主人公の名前。この映画は彼とその家族の物語だ。出演者が超豪華。主人公のロイヤル・テネンバウムを演じるのはジーン・ハックマン。彼の別れた妻エセルにアンジェリカ・ヒューストン。長男チャスにベン・ステイラー。次男リッチーにルーク・ウィルソン。長女マーゴにグウィネス・パルトロウ。さらに一家の周辺人物として、エセルに言い寄る黒人会計士ヘンリーにダニー・グローバー、マーゴの夫ラレイにビル・マーレーといった顔ぶれが集結している。こんなに豪華な顔ぶれだと、さぞや全体を取りまとめずらいであろうと思うのだが、それが何となく全体にしっくりとまとまってしまう不思議な映画。監督は『天才マックスの世界』(日本ではビデオ発売)のウェス・アンダーソン。劇中にリッチーの友人でマーゴの愛人でもあるイーライとして登場するオーウェン・ウィルソンは、この映画の共同脚本と製作総指揮を担当しているという。『エネミー・ライン』の主演俳優は、以外と知性派だったのね。ジーナ・ガーションの亭主は、やはりただ者ではなかった……。

 家族全員のありあまる才能と個性ゆえにバラバラに崩壊した家族が、風来坊の父親が戻ってきたことをきっかけにして再びひとつにまとまっていくという、どこかでよそでも見たことがあるような定番ホームドラマ。しかしこの映画の場合、登場人物たちの個性があまりにも定番の規格からはずれているため、まるっきり「定番ホームドラマ」の枠内には収まりきらない。テネンバウム家の子供たちは全員が十代で社会的な成功を収めた超天才児ばかり。長男チャスは発明と不動産投資で巨大な資産を作り、次男リッチーは国内大会3連覇の天才テニスプレイヤーだったし、長女マーゴは12歳にして演劇界の寵児となった天才戯曲家。そんな3人を育てた母エセルも考古学者として知られ、父ロイヤルも有名弁護士。だがこの人たち、全員が経歴に「元」が付いてしまう。父は弁護士資格を剥奪され、金も底をついて暮らしていたホテルを追い出される。長男は妻の飛行機事故死から不安神経症気味で何も手に付かない。次男は選手を引退して世界中を放浪中。長女は自宅のバスルームに引きこもりの生活。母エセルは会計士のヘンリーにプロポーズされて、これを受けるかどうか思案中。そんなところに、ホテルを放り出されたロイヤルがふらりと戻ってくる。

 変わり者の登場人物たちが、人並みの幸せを手に入れようとあれこれ動き回るうちにどんどん事態がへんてこな方向に曲がっていく。最近めったに見かけないスクリューボール・コメディの一種なんだろうけど、配役が豪華すぎてギャグがどれも小粒に見えてしまうのは惜しい。結局一番笑ってしまうのは、執事のパゴダがいきなり引き起こす突飛な行動だったりする。この顔ぶれだと映画にもっと濃厚な何かを期待してしまうのだけれど……。

 ※注:オーウェン・ウィルソンとジーナ・ガーションが結婚したというのは、どうやら誤った情報だったようです。この当時は周知の事実とされていたんですが、現在では当人たちのプロフィールにそのような情報はありません。どこからこんな情報が出てきたのかは謎です。(2007/09/10)

(原題:The Royal Tenenbaums)

2002年9月7日公開予定 恵比寿ガーデンシネマ、シネスイッチ銀座、他
配給:東映
(2001年|1時間50分|アメリカ)

ホームページ:http://www.movies.co.jp/royal/

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シナリオ:The Royal Tenenbaums
(Wes Anderson, Owen Wilson)

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