シックス・エンジェルズ

2002/05/02 映画美学校第2試写室
女性だけの警備会社ガード・オブ・ローズの活躍を描くアニメ。
コンセプトはともかく、物語の作りが粗すぎる。by K. Hattori

 秋元康が製作総指揮・企画・原案を担当した、美少女アクション・アニメ。我々の生きている時間とは別の時空間に存在する地球が舞台。21世紀初頭、女性だけで構成された民間警備会社ガード・オブ・ローズのメンバーたちは、いつも通りに砂漠のど真ん中にある最終服役施設(刑務所)ネオ・パガトリーを定期パトロールしていた。だが突然現れたのは、空を埋め尽くす無数の米海兵隊戦闘ヘリと、それを迎撃しようとする刑務所側の地対空ミサイルだった。ガード・オブ・ローズのヘリは、戦闘の巻き添えを食って地表に墜落。だが救助ロボットは現れず、メンバーの一部は刑務所を牛耳るドン・キャニオン一派に拉致されてしまう。残ったメンバーたちは仲間を救出するため、刑務所に潜入するのだった。いったい刑務所と海兵隊の間に何が起きたのか? 世界に反旗を翻したドン・キャニオンの目的は何なのか?

 主役である美少女(と呼ぶには少しトウの立ったメンバーもいるけれど)戦士たちと、忠実なアシスタントであるロボットたち、さらにメンバーを助けようとする刑務所のはぐれものコンビと新ソ連邦の軍人など、個性的なメンバーが、強力な火器を手に戦闘を行うという内容。作品のコンセプトとしては最初から「売れ筋商品」を狙って作られているのだろうが、中心になるコンセプトはともかく、細部の作り込みが不足していて作品としてはかなり見劣りするものだと思う。これは作画のレベルや、キャラやメカのデザインといった表面的な部分にも現れているのだが、このあたりは準備期間も含めた「ご予算」との兼ね合いがあると思うのでとやかく言うまい。(こうした部分が、アニメ作品の商品性を大きく左右する部分だとは思うけれど……。)それより僕が気になったのは、ストーリーの背景となる世界観をどう描くかや、物語の中でキャラクターをどう生き生きと活躍させるかといった、シナリオ作りの段階にあった。

 例えば冒頭いきなり大規模な戦闘シーンから物語を始め、そこから回想シーンで数時間前に戻るという構成が、この作品ではあまり大きな効果を生みだしていない。ガード・オブ・ローズのパトロール・ヘリに紛れ込んだ少女の役割が、劇中でうまく機能していない。「男性の暴力から女性を守る」というガード・オブ・ローズの役割が、刑務所の定期パトロールや地球の危機を防ぐというドラマの筋書きとまったく接点を持っていないため、ヒロインたちが口にする自分たちの存続理由が宙に浮いている。墜落してメチャメチャに破損したヘリコプターが20分で修理できてしまうという無茶な設定も「そんな馬鹿な!」だろう。ドン・キャニオン一派の設定が曖昧なまま物語終盤までなだれ込んでしまうのは中途半端だし、そもそもドン・キャニオンの目的は何だったのか最後までわかりにくい。「女性を守れ!」とか「地球環境を守りましょう!」という、フェミニズムやエコロジーのお題目はいらない。もっと話を面白くしてほしいのだけれどなぁ……。なんか、安っぽい映画でした。

2002年7月6日公開予定 テアトル池袋
配給:グルーヴ・コーポレーション 宣伝:ライスタウンカンパニー

(上映時間:1時間35分)

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