ノット・ア・ガール

2002/03/18 ムービーテレビジョン試写室
ブリトニー・スピアーズ主演。幼馴染みの少女3人のロードムービー。
アイドル映画だけれど、作品の完成度はわりと高い。by K. Hattori

 人気ティーン歌手ブリトニー・スピアーズ主演の、アメリカ版アイドル映画。'81年12月生まれのスピアーズ嬢にとっては、10代最後に撮影し、20代最初に公開される映画になるのでしょうか。本格的な映画デビュー作となる本作で、彼女は「ティーン歌手」の肩書きも返上することになります。邦題のもとになっている主題歌のタイトル「I'm Not A Girl, Not Yet A Woman」の通り、彼女自身が少女と大人の女性のあいだで揺れ動いている年齢というわけです。

 ミシシッピ州ニューオリンズで生まれ育った3人の少女が高校を卒業する。10歳の頃は親友同士として変わらぬ友情を誓い合ったのに、その後は同じ学校に通いながらもなんとなく疎遠になっている3人。卒業式の日、10歳の時の約束通り久しぶりに勢揃いした彼女たちは、それぞれの目的を持って西部まで一緒に旅をすることになる。優等生で父親とふたり暮らしのルーシーは、幼い頃別れたまま音信不通の母親に会うために。黒人のキットは、ロスに住む恋人に会うために。妊娠してお腹の大きなミミは、ロスで開催される歌手のオーディションに出場するために。車を運転するのはバンドマンのベンだが、彼はそのむかし人を殺したという噂があったりする。ほぼアメリカを横断するのに匹敵するこの旅で、3人の少女は自分たちの人生を問い直すことになる。

 スピアーズは優等生のルーシーを演じているが、エピソードの配分としてはルーシーと他のふたりで五分五分ぐらいの感じ。スターではあるが映画女優としてはキャリアの浅いスピアーズに一応の花を持たせつつ、映画の作りとしては他のふたりを合わせて3本の矢にしているところは上手い。両親の離婚、保護者からの独立、セックスへの憧れ、初めての恋愛、友情の絆など、大小さまざまなエピソードを強引に結びつけるために、ロードムービーという形式は打ってつけ。最初はギクシャクしていた人間関係が旅を通じてひとつにまとまっていくという、バディ・ムービーの要素ももちろん入っている。女3人だけではそれこそ姦(かしま)しいだけの映画になってしまうので、そこに少々得体の知れない、しかし頼もしい風体の男をひとり加えているのもいい。

 優等生というのは得てして人間的な面白味に欠けるもので、この映画のルーシーもキャラクターとしては面白味に乏しい。しかしそこに両親のエピソードをからめて、少し広がりのある人物造形にしている。娘に期待をかける父親を演じるのはダン・エイクロイド。娘が都会に出て歌手のオーディションを受けるなんて、まるで『コヨーテ・アグリー』のジョン・グッドマンと同じ役回りではないか。『ブルース・ブラザース2000』のコンビで、似たような娘を持って同じような苦労しているわけね。監督はタムラ・デイヴィス。見せ場の歌唱シーンにもっと強烈なグルーヴ感が欲しかったとか、まぁいろいろと欲を言えばきりがないけれど、全体としては爽やかな後味の残る水準以上の青春映画だと思います。

(原題:Crossroads)

2002年5月18日公開予定 シネマメディアージュ他・全国
配給:GAGAコミュニケーションズ 宣伝:ムービーテレビジョン

(上映時間:1時間33分)

ホームページ:http://www.britney-jp.net/notagirl/

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関連リンク:ブリトニー・スピアーズ
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