ハートブレイカー

2001/10/11 GAGA試写室
シガニー・ウィーバーとジェニファー・ラブ・ヒューイット主演。
母と娘の結婚詐欺コンビが本当の恋に落ちる。by K. Hattori

 母と娘の結婚詐欺コンビが、詐欺のつもりで近づいた相手と本当に恋に落ちてしまう話。主演は『エイリアン』シリーズのシガニー・ウィーバーと、『ラストサマー』シリーズのジェニファー・ラブ・ヒューイット。監督は『ロミーとミッシェルの場合』のデヴィッド・マーキンで、彼にとってはこれが2本目の監督作。脚本はジム・キャリーの『ライアーライアー』で知られる脚本家コンビ、ポール・ガイとスティーヴン・マザール。詐欺の被害者となる男たちにジーン・ハックマンやレイ・リオッタが扮し、母娘の財産を差し押さえる国税庁の女役人がアン・バンクロフトだったりと出演者は豪華。ただしラブ・ヒューイットと恋に落ちるバーのオーナー役、ジェイソン・リーはこの顔ぶれに囲まれると少々貫禄不足。本来はこのラブ・ヒューイットとジェイソン・リー中心にエピソードがまとまっていかなければならない映画だが、そのための求心力が弱くなってしまった。個々のエピソードは面白いのだが、全体のまとまりが欠ける印象がある。これは上映時間の長さも一因。この内容で2時間4分は長すぎる。あと20分ぐらい縮められれば、全体にテンポがよくなって面白くなったろうに。

 シガニー・ウィーバーはハリウッドを代表する「色気のない女優」で、彼女が結婚詐欺師というのがそもそもチグハグに見える。しかしこの映画は詐欺師のテクニックを見せる映画だから、持って生まれた色気で男たちを悩殺する女より、色気がないところを手練手管で補う方が話は面白くなる。ラブ・ヒューイットも特別色気ムンムンというタイプではないから、このキャスティングは悪くないかも。ただしこのふたり、どう見たってまったく親子に思えません。このふたりを親子にするなら、脚本段階でもう少しエピソードを足して、親子の情を濃厚に演出しておいた方がいいと思う。この映画ではふたりが「仕事のパートナー」であることはわかるんですが、母親が娘をどう見ているのか、娘が母をどう見ているのか、その関係性がうまく見えてきません。母親にとって、娘はいつまでも手のかかる子供。それを表現するのに「青いドレス」の一言で済ませるのは、ちょっと苦しいと思う。映画の中で母親の子煩悩ぶり、世話焼きママぶりを濃厚に押し出しておくと、娘のウェディングドレス姿を見て母親がついホロリというシーンも生きる。母親は娘を手放したくないのですが、それは母親が娘から自立できないということでもあるのです。母親は若い頃に妊娠したとたん男に捨てられ、その後は女手ひとつで子供を育てながら結婚詐欺道を邁進してきた。彼女がそこまでして生きてこられたのは、娘がいたからなのです。彼女は経済的に娘を養ってきたけれど、精神的な部分は逆に娘に依存している。このあたりの共生関係がもう少し協調されるとよかったかんだけど。これは残念な部分。

 笑えるシーンも多いし、最後にはほのぼのした気持ちになれる。ラブコメであると同時に、これは娘を送り出す「花嫁の母」の物語でもあるのです。

(原題:Heartbreakers)

2002年陽春公開予定 ニュー東宝シネマ他・全国東宝洋画系
配給:ギャガ・ヒューマックス共同配給

(上映時間:2時間4分)

ホームページ:http://www.gaga.ne.jp/heartbreakers/

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