CLUBファンダンゴ

2001/07/06 メディアボックス試写室
二流ギャングと二流クラブDJが三流モデルに振り回される。
もうちょっと面白くなりそうな話だけど。へた。by K. Hattori

 原題の“Fandango”とはスペインの代表的な民族舞踏のことだが、英語では「愚行」という意味も持っている。この映画の登場人物達は優雅なダンスを踊ろうとしながら、結局は馬鹿げた振る舞いで身を滅ぼす。

 主要登場人物は3人。モデル志望のシャーリーは、才能以前に身長が低いという問題のためいつまでも三流の地位に甘んじている。仕事を得るためなら誰とでも寝るが、やられ損になってしまうことも多い。一時はドラッグに溺れたこともあるが、現在は薬を断って健全な生活。だが薬の禁断症状で時として激しい発作を起こす。そんな彼女に惚れているのは、クラブ経営者のルポ。彼はギャングとドラッグの取引をする裏の顔も持っているが、高望みをせずそこそこの利益で満足することが、身を守るすべだと心得ている。ルポのクラブで働いているDJのサニー・サンシャインは、盲目の振りをして自分の周囲に壁を作り、厄介なことには首をつっこまないようにしている。だが昔の相棒アキラがトラブルを起こし、彼も騒動の渦中に巻き込まれていってしまう。

 ひとりの女と男ふたりの三角関係に、ドラッグ取引を巡るトラブルが絡んでくるというお決まりの展開。高望みをしないことでトラブルを未然に防ぐことをモットーにしていた男と、自分からはトラブルに巻き込まれないことを誓ってた男が、ひとりの女の存在によって否応なしにトラブルのど真ん中に放り込まれてしまう。物語の狙いや仕組みはよくわかるのだが、ヒロインを演じているニコレット・クラビッツに男ふたりを虜にするほどの魅力があるとは思えないところが、この映画の最大の欠点だろうと思う。まぁこの役どころは誰が演じても難しいと思う。すぐに手に入れられそうな親しみやすさと、肝心なところでするりと手から逃れていくとらえ所のなさを兼ね備えていなければならないわけだから……。このあたりを脚本段階でもう少し詰めるなり、演出上の工夫をするなり、女優にもう少し説得力のある配役をするなりすれば、この映画の雰囲気はがらりと変ったと思う。

 例えばシャーリーは「背が低くてモデルになれない」という設定なのだから、他のモデルと並んで明らかに彼女だけが背が低いという場面が1ヶ所ぐらいは欲しかった。オーディションの待機室ではみんな座っていて背の高さがわからないし、オーディション会場では単独の審査だから比較が出来ないし、撮影風景でも彼女が他のモデルと並ぶところがない。これでは本当に彼女の欠点が「背の高さ」だけなのか、よくわからなくなってしまう。

 映画の後半に比べて前半はだいぶもたつく。これは登場人物の性格を表すエピソードが、うまく人物に焦点を当て切れていないからではないか。例えばDJサニーの仕事ぶりも、もう少し丁寧に描いて欲しかった。彼は「俺のDJで店が儲かっている」と豪語しているほどなんだから、他のDJに比べて彼の選曲や技術がどうなのかということが、もう少しはっきりわかるエピソードがあるとよかったと思うんだけどなぁ……。

(原題:Fandango)

2001年7月28日 シネマスクエアとうきゅう
配給:ギャガ・コミュニケーションズ 宣伝:リベロ、トライエム・ピクチャーズ

ホームページ:http://www.gaga.ne.jp/

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