ドクター・ドリトル2

2001/07/06 FOX試写室
エディ・マーフィ主演のシリーズ第2弾は前作より面白い。
家族みんなで楽しめるエンターテインメント。by K. Hattori

 エディ・マーフィが動物の言葉がわかる世界最高の医師ドリトル先生を演じたヒット作の続編。森の動物たちから「開発業者に森が丸裸にされてしまう!」と訴えられたドリトル先生が、森を守るために奔走。森に1頭だけ残る絶滅危惧種の熊をペアリングすることに成功すれば、森は野生動物の保護区として開発の手から守られる。ところが貴重なメス熊のお婿さん候補は、サーカスで甘やかされて育ったおぼっちゃま熊。およそ野性味というものが感じられないこの熊は、野生の中で育ったメスの目に「オス」としての魅力がまったく感じられない。このままではペアリングは失敗することが目に見えている。裁判所がドリトル先生に与えた期間は1ヶ月しかない。先生は家族と森にこもって、サーカス熊に野生の暮らしをレクチャーすることになるのだが……。

 僕は前作『ドクター・ドリトル』をあまり面白いと思わず、エディ・マーフィの騒々しさが目立つだけの子供だましだと思った。しかしこの続編はなかなかいい。パート2ものでは『ナッティ・プロフェッサー2/クランプ家の人々』が下品路線になって僕を失望させたマーフィだが、『ドクター・ドリトル2』は逆に前作の騒々しさや品のなさをぬぐい去って、家族みんなで楽しめる良質のファミリー・エンタテインメントになっていると思う。前作ではドリトル先生が自分の能力にパニックを起こしたことからドタバタ喜劇が生じるというシチュエーションだったが、今回はドリトル先生が動物の言葉を理解できるという前提からドラマが始まるなど、キャラクターの定位置が定まって物語の中に入り込みやすくなっている。今回のテーマはドリトル先生の能力そのものではなく、ドリトル先生がその能力を使って何をするかなのだ。これによって物語は「ドリトル先生個人の問題」から、より広い世界へと膨らんでいく。前作をイマイチだと感じた人(つまり僕のような人)も、今回の映画には満足できるのではないだろうか。

 1時間28分という上映時間は最近の映画の中ではコンパクト。この中にさまざまなギャグがぎっしり詰まっていて、最初から最後までクスクスゲラゲラ笑わせてくれる。映画の主役はもちろんドリトル先生だが、見どころは彼と動物たちの軽妙な掛け合い。ドリトル家の犬を狂言回しにしたり、森の顔役であるビーバーを『ゴッド・ファーザー』になぞらえたり、動物がらみのアイデアにも知恵を絞ってある。最大の見ものは熊だけれど、よくもまあこれだけ芸達者な熊がいるものだと、つくづくアメリカの動物トレーナーの力量に感服してしまう。

 エディ・マーフィの主演映画は最近あまり日本で劇場公開されないのだが(未公開のままビデオ発売されてしまうものが多い)、この映画にはマーフィの役者としての魅力がたっぷり詰まっている。表情が豊かだし、温かみがあるし、軽いドタバタから重い芝居まで何でもござれ。下品なギャグを連発する癖さえなくなれば、日本でもファンが戻ってくると思うけどなぁ。

(原題:DR. DOLITTLE 2)

2001年7月21日公開予定 日比谷映画他・全国東宝洋画系
配給:20世紀フォックス

ホームページ:http://www.foxjapan.com/movies/dolittle2/

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