とび★うぉーず

2001/07/03 メディアボックス試写室
デンマーク製のアニメーション映画。でもこの邦題は……。
話はそこそこ面白い。日本語吹き替えがほしいな。by K. Hattori

 梅雨の時期だというのに晴天が続き、気温はぐんぐん上昇している。これも地球温暖化の影響だろうか。京都議定書はアメリカが承認を拒んで暗礁に乗り上げそうだし、いったいこれから地球はどうなってしまうのか。このまま地球の気温が上がっていけば、やがて両極の氷河地帯から氷が溶けだして海水面が上昇し、地球上の主な国々はすべて海中に没するだろう。そうなったら大事だが、この海面上昇を待ち望んでいるのが海洋生物学者のマックリル教授だ。海面が上昇して世界中が水浸しになったら、人間は地球では生きていけない? マックリル教授はいたって楽天的だ。「私の作った薬で、人間が魚になればいいのだ」と彼は考える。頭がどうかしているとしか考えられないが、映画に登場する狂った科学者の常で、彼はたったひとりでこの研究を完成していた。

 そんなこととは知らない子供たち3人が、博士の研究所に迷い込んでしまったからさぁ大変。幼いステラはレモネードと間違えて教授の作った変身薬を飲んでしまい、小さなヒトデに変身。兄のトビーはそのヒトデが自分の妹だと知らないまま、海の中に捨ててしまう。気が付いたときはもう遅い。妹を海から救い出すため、トビーは自分も薬を飲んで魚に変身し、広い海の中を大冒険することになる。ところが海底に落ちた回復薬のせいで、一部の魚が急速に進化。人間並みの高い知能を身につけて、海底に巨大帝国を築きつつあったのだ。

 デンマークで作られたアニメーション映画で、本国では『ダンサー・イン・ザ・ダーク』や『チキンラン』よりヒットしたという。主人公たち3人の子供は、トビーがトビウオに、ステラがヒトデに、ジェリーがクラゲに変身するのだが、これはそれぞれ名前との語呂合わせになっている。STELLAがSTAR FISHになって、JELLYがJELLY FISHになるのはともかく、TOBYがFLYING FISHになるのでは語呂合わになっていないと思うのだが、これは英語版だと役名がFLYになっているのだ。日本語版ではトビウオから帰納法的にトビーという名前を作ったのだろうが、ステラもジェリーも英語でなきゃ意味が通じないんだから、フライもそのままでいいと思うけどね。

 アニメの技術としては、CGなども上手く盛り込んでそれなりのクオリティ。しかしキャラクターのデザインにもう一工夫ほしかった。例えばステラが変身したヒトデは、デザインが素っ気なさ過ぎないか。僕は『親指スターウォーズ』を連想しちゃったぞ。タツノオトシゴのサーシャも、可愛いんだか可愛くないんだかよくわからない。ひとつだけ言えるのは、タツノオトシゴが本物の馬になったら気持ち悪そうだってこと。

 ディズニー・アニメ同様ミュージカル仕立てなのだが、歌と芝居のかみ合わせが悪いような気もする。親しみがもてて映画の後も覚えていられるようなナンバーが、あまりなかったのも残念。もっともこのあたりは、節回しの好みなどもあるので僕個人の問題かもしれない。なんにせよ、まぁまぁ、そこそこ、ぼちぼち楽しめます。

(英題:Help I'm a Fish)

2001年9月15日公開予定 全国ワーナー・マイカル・シネマズ
配給:ギャガ・コミュニケーションズ 宣伝:メディアボックス

ホームページ:http://www.gaga.ne.jp/



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