フロム・ダスク・ティル・ドーン2

2001/03/05 シネカノン試写室
メキシコの酒場に吸血鬼がうようよいるという映画の続編。
主演は『T2』のロバート・パトリック。by K. Hattori


 ロバート・ロドリゲスが監督し、ジョージ・クルーニー、クエンティン・タランティーノ、ハーヴェイ・カイテル、ジュリエット・ルイスなどが出演した吸血鬼映画『フロム・ダスク・ティル・ドーン』の続編。強盗チームがメキシコの酒場に乗り込んだら、そこは吸血鬼の巣窟だった……という設定をそのまま借りて、登場人物は総入れ替え。酒場のバーテン役でダニー・トレホが出演しているのが、前作と共通しているぐらいだろうか。もっともトレホも最近は売れっ子らしく、顔を出したと思ったらすぐに消えてしまうのだが。

 主演は『T2』で新型ターミネーターを無表情で不気味に演じたロバート・パトリック。しばらく見ないうちにすっかり老けてしまいましたが、今回も精悍な悪党をクールに演じている。彼が演じているのは元銀行強盗のバックという男。昔なじみのルーサーが護送中に脱走したことから、彼はメキシコの銀行を襲撃する計画に一枚噛むことになる。昔の仲間を集め、国境を越えて、いざ集合場所のモーテルへ。だが仲間たちはひとりまたひとりと吸血鬼に襲われて、彼ら自身も吸血鬼に変身。だがバックはそんなことも知らず、吸血鬼に変身した仲間たちと一緒に目的の銀行へと乗り込んでいく。

 1作目の『フロム・ダスク・ティル・ドーン』は吸血鬼が登場する前から、気弱な牧師父娘に極悪強盗兄弟をからませるなどして、ドラマ作りにいろいろな仕掛けがしてあった。その点この2作目は芸がなくて、かなりストレートに物語の核心に入っていく。どうせ観客が見たいのは吸血鬼に襲われる人間と、その吸血鬼に戦いを挑む人間たちの奮闘なのだから、前振りを長々とする必要もあるまいという割り切りかもしれない。この映画の序盤は強盗チームがなぜメキシコに行くことになったかという説明と、メンバーの紹介だけに費やされていると言ってもいい。強盗メンバーそれぞれの個性がうまく描き分けられているから、後半でメンバーが次々吸血鬼に変身したときに、性格の変化ぶりが楽しめるわけだ。

 映画の中盤では吸血鬼に次々人間たちが襲われるシーンをあの手この手で描き、観る側をドキドキさせてくれる。シャワーの中で女が襲われるシーンはヒッチコックの『サイコ』のパロディみたいで、恐いと思う前に笑ってしまうけれど……。そして映画の終盤では、銀行を取り囲む膨大な数の警官隊と、吸血鬼たちの猛烈な死闘。銃弾が雨あられと降り注ぎ、吸血鬼たちの猛攻に警官たちが次々血祭りに上げられるその物量は、ロドリゲスの前作を超えている。不死身の吸血鬼強盗はいくら弾丸を受け手もびくともせず、大量の火器と怪力と鋭い牙で、警官たちを撃ち殺し、投げ飛ばし、引きちぎり、かみ殺す。ここで観られる殺戮の規模は、前作『フロム・ダスク・ティル・ドーン』をしのぐもの。おそらくこの映画の作り手がやりたかったのは、このクライマックスだったに違いない。なんとも徹底的にわかりやすい映画だ。最後のオチにもう一工夫ほしかったけどね。

(原題:FROM DUSK TILL DAWN 2: TEXAS BLOOD MONEY)

2001年4月中旬GW公開予定 銀座シネパトス
配給:アミューズピクチャーズ


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