ブレアウィッチ2

2001/01/15 東商ホール
大ヒット作『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の正式な続編。
コンセプトと映画が合ってない駄作。by K. Hattori


 '99年に製作された『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』は、実在の事件と銘打ったドキュメンタリー体裁、インターネットのホームページを利用した宣伝、関連のテレビ番組や関連本の出版など、大掛かりなメディアミックス戦略が大受けに受けて、世界中で大ヒットを記録する。映画はフィクションだと言われるが、そんなことはお構いなしに舞台となったメリーランド州バーキッツヴィルには観光客が押し寄せ、町の墓地は大勢の人に踏み荒らされ、森の中ではキャンプの客が大騒ぎを繰り返すなどの社会現象を生んだ。この事態に眉をひそめる人たちが多かったのも事実だが、一方でこの騒ぎで一儲けしようと考える人たちもいる。町には急造の土産物店が建ち並び、映画のロケ地を案内するツアーが企画されて大人気を博す。バーキッツヴィルに住むジェフ・パターソンは、インターネットで魔女関連グッズの通販を行う一方「ブレアウィッチ・ハント」と名付けたツアーを企画。これは森の中に今も残る連続殺人鬼ラスティン・パー宅の廃墟を訪ねるという、大掛かりな肝試し大会みたいなものだ。この映画はその時起きた奇妙な事件を、俳優を使って忠実に再現したドキュドラマである。

 前作『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』が大ヒットしたことから作られた続編で、映画のヒットという事実を踏まえたところから続編をスタートさせるというアイデアは面白いと思う。ブレアの森探検ツアーは実際に企画されて大勢の人が世界中から参加しているし(今回の映画に合わせて日本でもツアーが組まれるらしい)、世界中から押し寄せる観光客によって町の様子が一変し、バーキッツヴィルの住民たちが困惑しているのも事実だ。しかしこの映画、面白いのはそこまでなのだ。

 前作がドキュメンタリーを名乗るフィクションだったことから、今回はその反対に「事実をもとにしたドラマ」にしてしまうというのは悪くないと思う。ドキュメンタリー映画出身の監督に、ドキュメンタリー風の映画を作らせるというアイデアも悪くないだろう。しかしこの映画、脚本にまるで面白さがないし、恐怖描写にもまったく切れ味がない。この映画って、一体どこが恐いんだろうか。この映画で恐がる人がいたら、僕はその人がどこで恐いと思ったのかを詳しく聞いてみたいぐらいだ。

 「再現ドラマ」というコンセプトで映画を作るなら、もっと他にやることがあったんじゃないのかな。映画の中では警察の取調室と再現ドラマが交互に現れるのだが、これは刑務所の面会室で服役囚に取材する形式にして、服役囚役の俳優とドラマの中の人物はよく似た他人にしておく。取材のカメラが撮影したブレアの森、再現ドラマの中の森、応酬されたビデオカメラの映像などを対比させながら、もっと立体的に物語を作っていく方法もあったはず。こんな映画を観るくらいなら、テレビ特番の「本当にあった恐い話」の再現ドラマを見ていた方がよほどましだと思う。魔女騒ぎを一気に白けさせて、バーキッツヴィルに平和を取り戻す意味ではいい映画かもね。

(原題:BOOK OF SHADOWS: BLAIR WITCH 2)

2001年春休み公開予定 全国ワーナー・マイカル・シネマズ
配給:K2、日本ビクター 宣伝:メディアボックス


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