アメリカは移民の国で、自分たちの両親や祖父母、曾祖父母の代にまでさかのぼれば、たいがいはどこかの国からの移民になる。現代アメリカ人が母親の故郷を訪ねて自分の出生に至る物語を掘り起こすというこの映画は、移民社会のアメリカでは誰もが「我々の物語」として受け入れられるものなのかもしれない。この映画の原題は『This is my father』だ。父親を知らない子供が、母の故郷で父に出会う物語だ。こうしたルーツ探しは、アメリカ人の郷愁を誘うのです。しかし先祖代々の日本人である我々がこの映画を観て、どの程度物語に共感できるかは疑問だ。『ゴッドファーザー』は移民の話でありながら、それ以上に物語としての面白さを兼ね備えていたから普遍的な傑作となり得た。『フィオナが恋していた頃』には、そうした力強さがないと思う。