アウト・オブ・タウナーズ

2000/04/17 UIP試写室
スティーブ・マーチンとゴールディ・ホーン主演のコメディ映画。
まったく笑えない。どこが面白いんだ? by K. Hattori


 1970年に製作されたジャック・レモンとサンディ・デニス主演のコメディ映画『おかしな夫婦』を、スティーブ・マーチンとゴールディ・ホーン主演でリメイクしたもの。ニール・サイモンのオリジナル脚本をマーク・ローレンスが脚色し、『D2マイティ・ダック』や『ジャングル・ジョージ』のサム・ワイズマンが監督している。僕はオリジナル版を観ていないのだが、少なくともこのリメイク版はまったく面白くない。ホテルのマネージャー役でジョン・クリースが登場するなど、出演者が立派なので劇場公開されるだけだと思う。(それでもシネパトス。)こんなの本来ならビデオに直行です。配給会社は大手のUIPですが、これではビデオ発売前に「劇場公開作」という箔を付けるために劇場にかけたことがミエミエです。観ていて情けなくなるぐらいにサムイ映画なんです。なんでこんなにひどいんだろう。笑いに対する感覚が日本人である僕とアメリカ人とでは違うのかと思ったら、IMDbの採点でも10点満点で5点ぐらいの作品なんだよね……。なんだ、やっぱりこれは誰が観てもつまらないんじゃないか。

 子供ふたりが成人して独立し、夫婦水入らずの生活になったヘンリーとナンシーのクラーク夫妻。しかし勤めていた広告会社をリストラされた夫は、妻にその事実を告げられない。「子供も独立したし、これからは広告の本場ニューヨークの会社で働きたい」と前向きな転職だと説明したが、「転職」と「再就職」じゃ気持ちが全然違う。友人の紹介で大手広告会社の面接を受けられることになったヘンリーだが、はたしてオハイオの広告会社をクビになった男が、ニューヨークの広告業界で通用するものなんだろうか……。そんな夫の不安を察したのか、妻ナンシーは夫のニューヨーク行きに同行することになる。これが一泊二日の大騒動の始まりだった。

 田舎暮らしの長い夫婦が、大都市で次々に事件に巻き込まれながら、人生最大の難関に挑むというお話。とにかく手を変え品を変え、次々と夫婦の前にトラブルが起きる部分がギャグになるのだが、残念ながらあまり笑えないし、最後まで観ても面白いと感じられなかった。面接は朝の10時。前日の早い時間に家を出て、前の晩はホテルに一泊し、翌朝は颯爽と面接会場に向かうという手はず。しかし飛行機は天候の影響でボストンに着陸するが、荷物は紛失するし、ニューヨーク行きの列車には乗りそびれる。夫婦はレンタカーで移動するが、地図は読めない、カーナビは故障するで到着は深夜。いきなり強盗にあって有り金をすべて取られ、カードは取引停止でホテルにも泊まれない。

 前の日から何も食べていないという部分や、夫婦のセックスレス関係が物語の大きな鍵になるのだが、それがほとんど生かされていない。ホテルの支配人が急に愛想良くなる理由も、少し考えないとわかりにくい。監督は特に下手な人ではないと思うので、多分これは脚色が悪かったのでしょう。主演ふたりには気の毒な映画です。

(原題:The Out-OF-Towners)


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