1999/11/11 ぴあ試写室
映像の断片で作られたパッチワーク・キルトのようなアートフィルム。
僕にとってはひどくひどく退屈な映画だった。by K. Hattori
東京国際映画祭の「NEW CINEMA FROM JAPAN」というカタログにも載っていた作品で、そこではこの映画が「アートフィルム」と紹介されていた。監督は大木裕之。ドキュメンタリー的に撮影された映像の断片をつなぎ合わせ、常に複数の映像や音声をオーヴァーラップさせた実験的映画で、ストーリーはおろか、今その場で何が行われているのかすら把握できない。英語の字幕は付いているが、肝心の日本語はほとんど聞き取れない有様。これは確かに「アート」というジャンルに入れるしかない映画です。ドラマではなく、ドキュメンタリーでもなく、それでいて紛れもなくこれは映画なのです。しかしこれは、我々が考えている「映画」という枠組みの外にいる映画です。フィルムに記録された映像や音声を、映写機を通してスクリーンに上映するという「形式」があるから、これは「映画」と名乗っているにすぎない。この作品に近いのは、現代アートの世界で作られている「ビデオアート作品」だと思う。