ブルース・ブラザース2000

1998/06/06 新宿ピカデリー1
この日の東京は寒かったが、劇場の中もお寒い状況でした。
売り方を工夫すれば、もうちょっと行くだろうに。by K. Hattori


 UIPの試写室では満席でも、新宿ピカデリーでは3割ぐらいしか客が入ってなかった。これはチトつらいです。この手のノリノリ映画は、やはりある程度は観客の入っている映画館で観ないと寒い思いをする。ガラガラの映画館でパトカー60台クラッシュを観ていても、画面から客席に向けて寒い風がピューピュー吹いてくるようだった。この映画は、日本では松竹東急洋画系で全国公開されてますが、むしろそれより小さな系列で丁寧に興行を打つべきだったかもしれません。都内だったらシネセゾンか恵比寿ガーデンシネマあたりで単館公開して、パンフレットを1500円ぐらいで売ればいいのです。やっぱり、1作目を観ている人しか劇場に行かないというハンデがあるし、映画のモチーフになっているR&B熱も、あまり盛り上がってこなかったのは痛い。売りようによっては、音楽方面からミニブームが起こって、映画も中ヒットしたと思うんだけどな。

 映画自体は、まぁこんなものでしょう。ジョン・ランディスにしろダン・エイクロイドにしろ、「作れるうちに続編を作っときましょう」という程度の考えに違いない。前作に比べて、明らかにスケールダウンしている映画ですし、同窓会映画としての意味以外に、この映画にどれだけの面白さがあるのかは疑問でしょう。同窓会映画としては、がんばって作ってます。ジョン・ランディスの演出ぶりには相変わらず切れがありませんが、それを物量作戦や度はずれたナンセンスで乗り切ろうという、知能程度は低いながらも効果的な方法でしのいでいる。この映画の観客の9割以上は前作を観てますから、当然「そうじゃないだろ!」と突っ込みたくなるところもありますが、じゃぁジョン・ランディス以外の人が『ブルース・ブラザース』の続編を作ると言われても嫌だもんね。なぜって、ランディスも「同窓会」の重要なメンバーだからです。彼なしの続編なんて考えられない。そのためには、多少つまらなくても我慢するよ。

 映画のエンドロールに、本編からはじき出されたストリップ小屋での演奏シーンが1曲入り、エンドロールの後には、同じく本編に収録しきれなかったジェームズ・ブラウンの熱唱がくっついてます。これは「アウトテイクス」というやつですね。撮影も編集も済ませてあったのに、上映時間の関係で泣く泣くカットしたのでしょう。ジェイムズ・ブラウンは、映画本編の中ではソロで歌ってませんから、この「プリーズ、プリーズ、プリーズ」がないとおかしいんです。たぶんエルウッドが「金が借りられるぞ」言ってから楽屋に入り、ジェームズ牧師の歌があって、その後が集会シーンなのでしょう。ストリップ小屋のシーンも、バスターの服装が黒装束じゃないことから、本来なら本編のどこかに入っていたものが、切られた結果だということがわかります。

 この映画、演奏はいいんだけど、演奏シーンはチャチです。お金がかかってません。その辺がちょっと残念ではあるんだけど、ま、いいか……。

(原題:BLUES BROTHERS 2000)


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