マウス・ハント
日本語吹き替え版

1998/03/14 スバル座
洋画ファミリー映画の日本語吹き替え版には家族連れが殺到。
映画会社はもっと吹き替え上映を増やして!by K. Hattori



 ファミリー向きの洋画で、大手の配給会社の作品は、この映画のように時々「日本語吹き替え版」を公開することがある。ところがこうした日本語版は、ほとんどマスコミ向けの試写が組まれないのです。ディズニー・アニメなどは少し回すようですが、少なくとも今回僕のところには、UIP配給『マウス・ハント(日本語吹き替え版)』の試写案内は届きませんでした。僕は去年、同じUIP配給の『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク(日本語吹き替え版)』も劇場で観ているんだよね。『ロスト・ワールド』は空いてましたが、今回観た『マウス・ハント』はかなり混んでました。初日だということもありますが、映画館の中は親子連れでほぼ満席。面白い場面では映画館中がドッと爆笑するなど、試写室ではなかなか得られない雰囲気です。

 僕は日本語字幕を読むのが面倒くさいと感じているほうなので、日本語吹き替え版の登場は大歓迎。ファミリー向け映画に関しては、英語版をなくしてでもいいから、日本語版をもっと増やすべきだと思ってるぐらいです。日本で作られるファミリー映画って、この時期だと『ドラえもん』であり『ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ』です。はっきり言って、どちらもオトナの鑑賞に堪えるものではない。子供を引率していった大人は、退屈してしまうと思う。日本には「家族全員が楽しめる」という、本当の意味でのファミリー映画がほとんどないのです。その点、アメリカ映画はちゃんと『マウス・ハント』みたいな映画を作っている。これなら、大人も子供もちゃんと楽しめます。偉い。

 ところが日本に輸入された「ファミリー映画」も、英語のままでは本来のターゲットである「子供」には楽しめない。本当は「子供たち」のために作られた映画なのに、映画館の中は若いアベックばかりという転倒した状態が生まれるのは、日本語吹き替え版を作らないからです。ある程度の規模以上の映画については、どの映画会社も本当は日本語版を作るべきだと思う。『タイタニック』は日本語版があってもいい映画だし、『トゥモロー・ネバー・ダイ』も日本語版さえあれば小学生だって楽しめる。(大人だって、字幕読む暇があったらアクションを堪能した方がいいかもしれない。)

 せっかく日本語版を作っても、映画館に客がいないというのでは困るけど、今日の『マウス・ハント』を観る限り、日本語版にはちゃんとした需要があるし、市場も存在すると思う。行きたい映画があるのに、子供が観られないからと我慢している親は多いはずです。映画会社は、もっと積極的に日本語版を増やす努力をしてほしい。ビデオ発売時には日本語版を作っているのだから、手間は同じはず。上映館の何割かを日本語版にするのだけなら、用意するプリントの総数は変える必要がない。少なくとも東京のように、ひとつの地域に何館も劇場がある地域では、例えば都内で1〜2館が日本語版を上映している意味はあると思う。ぜひ検討を望む。

(原題:Mouse Hunt)



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